サウンド

サウンド与太噺

- 覚えておくことはないたわいもないお話 -

モグラ モグラ

20年以上もサウンドの仕事をしていると、頭の中の記憶容量も不足をしがちで、
そろそろ余計なことは吐き出して、新しい情報と入れ替える必要が出てきました。
この文章に書かれている事柄は、 過去に様々な方々から聞いたことがある話を元に書かれています。
またおもしろい話を聞いてきたり、以前に聞いたことを思い出したら 内容が追加されることがあります。
覚えておいても仕事には全く役立たないと思いますので、気楽にお読み下さい。

文章を書いた人   森本雅記

星


      目次    
Vol.1

【B級コレクション】
【スピーカのジャンパ・ピン】
【BGMとFGM】
【矛盾】
【500Hzと2,000Hz】
【巨人達が地球を闊歩していた頃】
【dB SPL】
【ペーパー・コンピュータ】
【クレームの効用】
【レベル・フロウチャート】
【リアメンテ】
【アカデミー特性】
【LPレコードの回転数】
【LPレコード】
【ソノシート】
【スタンダード(規格)】
【スピーカシステムが1本しかなかったら】
【イントレ】
【日本におけるアルテック・ランシングの代理店】
【マエストロ】
【パンケーキ】

Vol.2

【鉄仮面】
【ゲームセンター】
【水中のサウンド】
【アルニコとフェライト】
【マグネットの形状】
【スピーカの端子(極性の問題)】
【スピーカシステムのマルチ駆動はいつ頃から始まったのか】
【マルチ駆動事始】
【1220ACミキサー】
【アルテック・ランシングのスピーカの特長】
【ダンピングファクタ】
【メガ・システム】
【パッシブとアクティブ】
【MC】
【上手と下手】
【校章と交渉】
【本日は晴天なり】
【パワーアンプをヒートする】
【扇子(センス)と団扇】
【スピーカから火が噴いた】


 

Vol.3

【マルチセルラホーン】
【セクトラルホーン】
【マンタレイホーン】
【非対称ホーン】
【バリ・インテンスホーン】
【デッドニング】
【マグネット】
【ダイアフラム】
再生周波数帯域】
【フェージングプラグ】
【スロート】
【コンプレッションドライバーのインピーダンス】
【ミラーサウンドの写真】
【ウィング】
【ウーハーの取り付け】
【ギャザードエッジとウレタンエッジ】
【アルテック・ランシングとベル研究所】
【アルテック・グリーン】
【エコー・マシーン】
【シネマ・サウンド】
【ステレオフォニック】
【映画のフィルム】
【アルテック・ランシングとJBLとの関係】
【604シリーズ デュプレックス(Duplex)ラウドスピーカ】
 

Vol.4

【ディズニーとアルテック・ランシング】
【A7スピーカシステム】
【A7ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)スピーカシステム 価格の変遷】
【A7裏話】
【2ウェイスピーカシステムのクロスオーバ周波数】
【ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)】
【ホーン内蔵スピーカシステム】
【828エンクロージャ】
【A7あれこれ】
【A5スピーカーシステム】
【美空ひばりは7.5マイクロ・セック】
【低い帯域のサウンド伝搬】
【アルテック・ランシングの納入実績】
【THXシネマシステム】
【溺れるものは藁をもつかむ】
【映画に出演した仲間達】
【アルテック・ランシングこれっきり:桐で作ったエンクロージャ】
【スピーカは四角だけではない】
【蓄音機】
【与太の会に入るメリット】
【まとめ】
【参考資料】


Vol.1   
 【B級コレクション】
 他の人には価値があるとは思えないビールの王冠等を大切に集める人のことを<B級コレクタ>と言うそうです。
 私共が取り扱っている業務用スピーカシステムも機能本意に設計をされていて、その外見は大変無骨なものとなっています。
 古いカーボンマイクの写真
 昔一般のお客様のお宅に<A7ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)>をお届けしたことがあるのですが、そのご家庭の奥様は「この汚らしいスピーカは何ですか!すぐ持って帰って下さい」とおっしゃいました。ご主人が少ない小遣いをやりくりしてやっと購入したのに....
 業務用音響の仕事を永くされていて、過去に使った音響機器を押し入れの中に集めている方を多く知っていますが、家族の方々はその方にとって愛着があり、業界にとって大切な遺産を<ゴミ>としか理解していない事例を多く見かけます。
 このような貴重なコレクションを散逸させずに集めていく作業も業界として必要な時期に来ているのではないでしょうか。
 私が今ここに書いている<サウンド与太噺>も大多数の方には興味がわかない<B級読み物>なのかもしれません。
   

【スピーカのジャンパ・ピン】

 スピーカドライバは低域だけでなく高域もマグネットの磁界の中をコイルが通っており、基本的の振動しやすい構造となっています。 <スピーカを移動させる場合>や<スピーカドライバのそばに大きなサウンドを出す音源がある場合>には、コーン紙やダイアフラムが無制限に動いてしまい、時にはマグネットに当たったりすることによってユニットを破壊してしまうこともあります。
 シーリングスピーカなども施工をしてから引き渡しをするまで、パワーを入れずに放っておくとコーン紙が垂れ下がってきてしまうことがあります。
 これらの損傷を防止するために、スピーカ端子間をショートする処置を施していた時期がありました。  
端子をショートしておけばコーン紙やダイアフラムが余計な動きをしなくなります。このショートをするピンを<ジャンパ・ピン>と呼んでいました。
 スピーカシステムがマルチ駆動になったり、様々な簡単に脱着が出きるコネクタが普及した結果、スピーカをショート状態にしておく処理が複雑になり、<ジャンパ・ピン>をつけることがなくなってしまったことは残念なことかもしれません。
 ただし<ジャンパ・ピン>が付いているスピーカシステム、スピーカユニットでは、パワーアンプをつないで実際に使用するときには必ず<ジャンパ・ピン>が抜けていることを確認して下さい。
 <ジャンパ・ピン>をつけたままではパワーアンプが間違いなくショートをしてしまいます。 

  
  

 【BGMとFGM】
 空間における音響を分類する言葉として<建築音響(Architectual Acoustics)>と<電気音響(Electrical Acoustics)>が一般的に使われています。
 アコースティック(Acoustic)という単語は元来<電気的増幅をしていない音>を意味していますので、私は<電気音響(Electrical Acoustics)>という言葉を使わずに<サウンドシステム>と言い表すようにしています。
 <サウンドシステム>といってもその中には様々な種類のシステムが存在します。
 <サウンドシステム>が音響の主役となるのは、<サウンドシステム>がないと全くイベントの内容を表現できない<コンサート・システム>、<シネマサウンド・システム>、<ディスコテック・システム>、<ライブハウス・システム>、<アナウンスメント・システム>等があり、このシステムは聞き手を楽しませるという意味を含めて<エンタテイメント・システム>と呼ばれることもあります。
 <サウンドシステム>が目立たない黒子の役割をするのは、<スピーチシステム>、<バックグラウンド・ミュージックシステム(BGM)>、<パブリックアドレス・システム>等があります。このシステムは距離減衰によって損なわれた音響エネルギを補強するという意味で<サウンドリンフォースメント・システム(SR)>と呼ばれています。
 <SRシステム>は通常サウンドの表現力を要求されないシステムとしてあまり注目されていませんが、そのたどってきた歴史は長くかつ理論的奥行きは大変深いものがあり、<SRシステム>を良く理解していないと<エンタテイメント・システム>を取り扱う場合にも問題が発生した場合の対応が満足にできないことが多くあります。
 <バックグラウンド・ミュージックシステム(BGM)>に対応するシステムとして<フォアグラウンド・ミュージックシステム(FGM)>という言葉があります。耳慣れない言葉なのですが主役と黒子をわかりやすく分類する言葉として覚えておくと便利なのではないでしょうか。
 小さなピアノバーでピアノやボーカルの再生をする目的で取り付けられたサウンドシステムが<フォアグラウンド・ミュージックシステム(FGM)>というのだそうです。<バックグラウンド・ミュージックシステム(BGM)>の様に黒子のごとく目立たない状態でサウンドが流れているのではなく、小さな空間にもかかわらずサウンドシステムがある故に雰囲気を盛り上げるために用意されたシステムなのです。
 <サウンドシステム>を分類するもう一つの方法があります。
 <フィードバック(ハウリング)を発生するサウンドシステム>と<フィードバック(ハウリング)を発生させないサウンドシステム>の2種類です。
 声が小さいので有名な方がいらっしゃいました。
 テレビで座談会をする場合にははっきりと話を聞き取ることが出きるのに講演会で話をする場合には音量を上げることができないために全く話を聞き取れないということがありました。
 テレビのスタジオではスピーカを使って拡声をする必要がないために<フィードバック(ハウリング)>が発生しないのです。
 サウンドシステムを使う環境でサウンドの出し方が異なる最高の例です。
 <サウンドシステム>を設計するプロセスが全く異なることは皆様おわかりのことと思います。 


  

 【矛盾】
 スピーカシステムを取り付けるスペースが小さいのだが良いサウンドが出るスピーカシステムが欲しいという矛盾だらけの要求が出てきます。
 世の中にはシステムコントローラで制御をするコンパクトなスピーカシステムが多く出ていますが、使用しているホーンが小型であるため、<90度>の水平角度をカバーするのに<公称60度>の指向角度を持ったスピーカシステムが3台必要ということになります。 
 結局<90度>の指向角度を持った比較的大きなスピーカシステムより大きな設置スペースが必要となりシステムを構成する費用も大きなものとなってしまいます。
 音速が<秒速340 メートル>という公理が変わらない限りスピーカシステムの大きさを変えることはできないのです。

  

 【500 Hzと2,000 Hz】
アコースタキャド(AcoustaCADD)のシミュレーションをするのに<500 Hzと2,000 Hz>での2パターンを提示しますが、この理由は何故なのでしょうか。
 <500 Hz>は男性の音声帯域の中心周波数だからということを言っている方がいらっしゃいました。
 <2、000 Hz>は音声明瞭度に一番影響を与える周波数だからではないかという説があります。
 どなたか本当の理由を教えて下さい。 

  

 【巨人達が地球を闊歩していた頃】
ヒリアード氏達の写真
1938年
MGMスタジオのレコーディングコンソールの前で撮影
後列左がヒリアード氏、右がランシング氏
前列左からベッシー氏、カーリントン氏、後になってアルテックの社長を勤めたワード氏

 1989年3月21日にカリフォルニア州サンタナにある自宅で<ジョン・ヒリアード(John K.Hilliard)>氏が亡くなったというあわただしい訃報がたった今私達の耳に入ってきました。
 ヒリアード氏はJBLの創始者である<ジェームス・ランシング>氏と一緒に<ダグラス・シラー>氏のために作られた非常に初期のトーキー映画(talking pictures)に携わるために、カリフォルニア州カルバーシティにあった<メトロ-ゴールドウィン・メーヤスタジオ(MGMMetro-Goldwyn-Mayer Studios)>に入りました。
 MGMにいた14年間に彼は映画のサウンド(スタジオ、劇場アコースティック、マイクロホン、光学録音、ラウドスピーカ等々)に関するあらゆる面に貢献をしてきました。彼は<映画芸術、映画科学の学会>の研究部会で熱心に活動をしました。
 第二次世界大戦が始まると共に、ヒリアード氏はマサチューセッツ工科大学でレーダ開発をするためにマサチューセッツ州ケンブリッジに移りました。
 1943年に<ジョージ・カーリントン(Georgr Carrington)>氏は彼と彼のMITの同僚である<ポール・ベネクレッセン(Paul Veneklasen)>氏をこの大戦中にソナー機器を製造していたアルテック・ランシングに雇い入れました。
 ヒリアード氏はアルテック・ランシングで高度技術(Advanced engineering)担当の副社長でいました。
 彼が直接陣頭指揮をして出来上がった機器は、<ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)ラウドスピーカ>、<精密マイクロホン>、<核爆発衝撃波測定装置>、<マクドネル・ダグラス社の航空機金属疲労音響試験装置>、<ジャイアント・ボイス・システム(Giant Voice)広域屋外音声警報システム用の超ハイパワーラウドスピーカ>そしてそれ以外の多大な面にわたりました。
 1946年に彼はアルテック・ランシングにとって優雅で素晴らしいシンボルとして<マエストロ(Maestro)>を提案しました。今日もアルテック・ランシングではこのシンボルマークをカタログの巻頭等に使用しています。
 1960年にアルテック・ランシングを離れた後、彼は<テレコミュニケーション>、<地球物理学>そしてそれ以外の課題に取り組むLTV研究センターの役員として迎え入れられました。新たな経歴を意味しただけのLTVを退職して、1976年に彼は音響コンサルタント会社である<ヒリアード&ブリッケン(Hilliard & Bricken)社>を創立しました。 この会社は<建築アコースティック>、<コミュニティ>、<産業で発生する騒音制御>を専門に取り扱いました。彼らはカリフォルニアにおける住宅地の騒音制御に関する法律の創始者であり、タイムディレイ・スペクトロメトリを使った非常に初期のコンサルタントでもありました。<ゴードン・ブリッケン(Gordon Bricken)>氏がサンタナの市長として選出され政治的な経歴を歩み始めたため、会社はその名前を<ヒリアード&アソシエーツ(Hilliard & Associates)>に変更しました。

 ヒリアード氏は数年前にカリフォルニア州のオレンジ・カウントリ全体を見渡すことができる丘の上にある家に引退しました。ここは<ドン・デービス(Don Davis)>氏の著書である<ラウドスピーカのエンクロージャの作り方(How to Build Loudspeaker Enclosures)>にも紹介されている彼の家の石造りの暖炉の中に作り込まれた巨大なステレオ・ラウドスピーカを持っていた場所でした。 彼はミネソタ州のセント・ポールにある<ハムリン大学(Hamline University)>から物理学の学位を得ました。そして<ミネソタ大学(University of Minnesota)>で電気工学の勉強を終了しました。
 1951年に彼は<ハリウッド大学(Hollywood University)>から名誉博士号を授与されました。
 ヒリアード氏は<米国音響学会(Acoustical Society of America)>、<音響技術学会(Audio Engineering Society)>、<映画学会(the Society of Motion Picture)>、<テレビ技術学会(Television Engineers)>そして<電気と電子技術協会(Electrical and Electronics Engineers)>の会員でした。彼は<Eta Kappa Nu>のメンバーでした。
 我々がヒリアード氏に1990年の1月と2月に開催されるアルテック・ランシングの<クリニックでの講演>に話をして欲しいと最後に連絡を取ったのは数カ月前でした。彼は快く承諾をしてくれて<ダイレクト・ラジエータタイプのラウドスピーカ>の設計について幾つかの技術的な助言をしてくれました。
彼の貢献は<アルテック・ランシング>、<映画のサウンド>、<サウンド工業界>に対してでした。そしてアコースティック技術を<医学研究>、<聴覚生化学>、<冶金>、<民間防衛>、<地質学>、<ソナー>、<高速道路騒音>そしてそれ以外の用途に応用してきました。
非常に多すぎて書き出すことができないほどです。私達は技術上の問題点を直接かつ実際に解決することができるたびに思い出します。そして彼が信じてきたことについて声を大にして話をしてきたその意志を常に思い出します。
  アルテック・ランシングの社内報である<マエストロ(the Maestro):Spring 1989・Volume 3・Number 2>に書かれていたものです。
同じ<マエストロ SUMMER 1988・VOLUME2・NUMBER3>にはワード氏が1988年に開催された春季クリニックに参加された時の記事が出ています。
ワード氏達の写真 
ワード氏と談笑する当時のアルテック社長であるデーブ・メリー氏と市場開発担当のテッド・アズル氏

 1968年にアルテック・ランシングの社長を退任されたワード氏(Emeritus Alvis A.Ward)がウェスタンエレクトリックに1928年に参加されて60年が経つのをお祝いするために開かれた夕食会で、ワード氏は次のようなスピーチをしました。
今まで施工したパワーアンプについての内容だったのですが、その大きさと重さは今の冷蔵庫ぐらいあったそうです。それは当時使われていた電源が湿式バッテリーであったことに起因するものです。そのパワーアンプは8ワットの出力しかありませんでしたが、60年前には非常にハイパワーなものといわれていました。 

   

 【dB SPL】
 <dB>というのはサウンドリンフォースメントの仕事の中で、<数量の比率>を説明する場合に広く使われている用語です。
 <電力>、<電圧>、<電流>、<音圧(SPL)>等その類似の数値を<dB>を使って常に説明しています。
 <dB>で表された数値は常に何かに対する比率を表しています。
 <dB>について完全に理解することがサウンド施工者の必須条件となります。 

 <電圧比率と電流比率>では単純に<dB>を使います。
 <音圧レベル比率>では<dB SPL>を使います。<dBu>と<dBm>という単位もある特定の意味を持って使われます。
 <dB>と表示するためには単純に<dB>と表示をするのではなく、何の比率を表示するのかということも記載しておかなくてはならないのです。
 <dB>と言っても様々な意味があることを覚えておいて下さい。
 詳しくは<TECHNICAL LETTER:ログとデシベル>を参照して下さい。

  
  

 【ペーパー・コンピュータ】
 コンピュータやディバイス技術の発達で、音響計算が驚くほど早く正確にできるようになりました。
 紙でできた音響計算尺 <ペーパー・コンピュータ>というのは紙でできた音響計算尺なのですが、ラウドスピーカの能率にカーソルを合わせるとラウドスピーカに掛けた電力によって得られる音圧や、距離が離れた場所にいる聞き手の位置での音圧を簡単に求めることができるようになっています。 
 アルテック・ランシングが出している<ペーパー・コンピュータ>には<INVERSE SQUARE LAW CALUCULATOR(逆二乗法則計算機)>という副題が付いており、現行の<ペーパー・コンピュータ>の裏面には<バリインテンスホーン>のカバーエリアが計算できる機能まで付いています。

  

 【クレームの効用】
 解りきったことかもしれないが、一般的に「クレーム」というのは製品そのものやそれを製造するメーカ、販売をする販売店などに対して、製品の故障など何らかの理由によりお客様が腹を立てている状態を示しています。
 私共がこういう言い方をすると怒られるかもしれないが、仕事をしているとお客様からのクレームはつきものです。私共のように機器そのものを扱っていると、日常の修理やメンテナンス業務、技術者の確保と育成、補修部品や機材の確保は会社の中でも非常に重要なパートであり、クレームの発生を少なくしかつ会社の信用を支えるためには不可欠なことなのです。
 一般の電気製品は、製造完了後一定期間補修部品を保有すればよいことになってはいるが、プロ機器の場合には補修部品がなくなったからといって、システムの中でその部分だけをおいそれと新品と交換できないケースも多く、私共もなかなか「もう寿命ですから使うことはできません」という言い方はできません。
 私共の会社のパーツストックを見ると、中には40年前に既に製造中止となった製品の補修パーツまである。
 確かにスピーカやパワ−アンプなどは条件さえよければ半永久的に動き続けると思われるものもあるし、映画館のスクリーンの裏に設置されたスピーカシステムなどは低域スピーカの半分がネズミに喰いちぎられてもサウンドを出しているものもあります。また私共の古いカタログだけでしか見たことのない製品が実際に修理品として持ち込まれることもあります。
 製品を売る側から見れば「末永くご愛用いただきたい」というのは一つの本音であります。長期にわたり過酷な使用条件のプロの現場で大きなトラブルも起こさずに使用され続けるというのは、その製品のステイタスを高める実績となり、自分の扱う商品に対する自信にもなります。
 過去に自分が販売をした機器が現在も元気で働いており、お客様もそれに満足をしていただいている現状に出会うのは、仕事をしていて感じる喜びの一つであります。
 一方、商売をする立場としては当然新規の注文が欲しいわけで、もう一つの本音は「こいつ、もういい加減に往生してくれないかな」ということにもなります。
 部品や素材の進歩によって現在の音響機器は性能面だけではなく信頼性の面でも10年前、20年前に比べて進歩して壊れ難くなってきているのは事実です。チタンや炭素繊維等の新素材に限らず、スピーカの振動計を組み立てる際に使用される接着剤の改良一つを取ってみても、スピーカの耐久性を向上させるために非常に大きな役割を果たしているのです。
 しかし<機械>であることには変わりがなく、そっけない言い方をすれば「形あるものはいつか壊れて当たり前」の状態は変わっていない。
 プロオーディオ機器は定格の限界を超えた場合の安全性を高めるために、民生用の機器よりも大きな余裕度(ヘッドルーム)を持たせたり機器自身や接続される他の機器を保護するための回路を備えていることが多いが、もう一方では{故障をする}ことも前提に設計されなくてはならない。
 <電子回路のモデュール化>や、<二重電源供給>、<スピーカ振動板のアッセンブリ化>など故障を起こしたとしても迅速に復帰できる構造が必要である。
 この会社働き始めて間もなくある先輩から「クレームは最大の営業チャンス」と教わった。新人として働き始めた頃はカンカンに怒っているお客様のクレームに対応をするのはとても気の重い仕事でした。しかしお客様に現状を理解していただき、最善の方法で迅速に対処するためには結局その製品にとって<都合の悪い>ことであっても本当のことをお話しして納得していただくしかないという局面を少なからず体験した結果、一度クレームを処理したお客様との関係はそれ以前と比べて本音でなんでも言える良い関係が築け、その結果それ以前よりもスムーズな商売ができると言うことが解りました。
 自分の立場で考えても<クレームを出す>という状態はなす術もなく本当に困っている状況であり、相手先の担当者に対してついきつい言葉で電話をしてしまったりするが、やはりメーカからのヘルプを本当に必要としているときなのです。
 クレームにならないケース、通常通りの修理と事務処理だけがおこなわれる場合には、お客様の意志や苦情が正確にメーカに対して伝わらないこともあります。
 時にはお客様はその製品を見限ってしまう場合もあります。
 これはメーカにとってはクレームよりもこわい話になります。
 クレームをつけることによって、メーカとユーザ間の意思疎通は間違いなく活性化され、やがて協力関係が出来上がってくるのです。
 このような関係はお互いにとって日々の仕事を助ける財産となることでしょう。

 [牧田 滋夫 著]

  
  

 【レベル・フロウチャート】
フローチャート図 サウンドシステムの設計ならびに施工が終わってしまった後で、サウンドシステム全体のノイズが多いので何とか対策ができないかという話をよく聞きます。
 このような問題が発生することをあらかじめ予測するために<レベル・フロウチャート>という考え方があります。
 ミキシングコンソールの入力と出力の間のレベル変化をフロウチャートにしてカタログに掲載しているメーカもありますが、ほとんどの資料では見たこともありません。
 サウンドシステムの<S/N値>を最良の条件に設定するには、ラウドスピーカからシステムの逆向きにレベルの流れを書いていき、パワーアンプ、プロセッシング機器、ミキシングコンソールのレベルを決定していけばよいのです。
 アルテック・ランシングは<レベル・フうロチャート>を記入していくことができる製図用紙まで用意していました。
 詳細については弊社サウンドシステム資料集内の<サウンドシステムに必要な設備、その基本的な考え方>を参照して下さい。

  
  

 【リアメンテ】
 サウンドシステムでラウドスピーカを使う場合に検討を加える要素として<十分な音圧を確保できるのか>、<聞き手全体に均等な音圧をサービスできるのか>、<明瞭度を確保できるのか>という項目がありますが、もう一つ大事なことはラウドスピーカが壊れた場合に迅速かつ楽にメンテナンスができるのかということについても考えておかなくてはなりません。   特にプロセニアムスピーカシステムに使われているラウドスピーカは、キャットウォークの前に取り付けられていることが多く、メンテナンスをウラドスピーカの後方からおこなわなくてはならないことが多いのではないでしょうか。
 従ってラウドスピーカの後方からメンテナンスできる<リアメンテ>の構造になっている製品を使ったほうが保守性能が高いということになるのです。
 アルテック・ランシングの一部の製品を除いて固定設備で使う場合の保守作業を考慮して<リアメンテ>に対応できる構造となっています。

  

 【アカデミー特性】
島田 保氏からのお手紙

 
 映画の歴史の中で一つの重要な出来事があります。
 それは<映画サウンドの録音時と再生時の周波数特性を規定した>ことです

 現在は<ISO 2969 屋内劇場の電気音響特性>という規格に基づいて録音特性と再生特性が決められています。
 1936年各製造会社によって製造されているシアターサウンドシステムを調べ、電気特性規格(音響特性ではありません)を作ることを始めました。その調査の基準となる<シアターサウンドフィルム>と<周波数フィルム>が作られました。
 このフィルムを持ってアメリカ国内の主な劇場を調査し、1938年に推賞規格を発表しました。その後も調査を続け、1948年に<Motion Picture Research Council Inc.>から<Technical Bulletin:技術公報>が発行されています。
 これが通常<アカデミーカーブ>と呼ばれているものです。

 参考までにこの時調査されたスピーカシステムの概要を書いておきます。
ここに記載している最大入力は当時の素材を使用したデータです。
( 資料提供 島田 保氏、佐々木 氏)

 アルテック・ランシング(電磁石型) 1948年2月に完成
 アルテック・ランシング(電磁石型)表

 アルテック・ランシング ボイスオブシアター・システム 1948年2月に完成
 アルテック・ランシング ボイスオブシアター・システム表
 アルテック・ランシング ボイスオブシアター・システム
 シンプレックス・フォスターシステム 1948年2月に完成
 シンプレックス・フォスターシステム表
  当時の映画館の工事風景

 電磁石型

 永久磁石型

 ミラフォシステム

 
ミラーフォニック・システムの写真。
マルチセルラホーンについては後で説明。
ウーハが剥き出しで付いていることが分かる。

  

 【LPレコードの回転数】
 
LPレコードの回転数は<33-1/3 rpm>と決まっています。この回転数に決められた経緯は以下の通りです。
 映画のサウンドクォリティを改善していく努力の中で、フィルムに同期させてレコードをかけるという試みがなされたことがあります。
 この方式を<フォトフォン>と呼ぶのですが、この際にフィルムと同期を取るために決められた回転数が<33-1/3 rmp>なのです。
 <フォトフォン>ではレコードを内側からかけて外側で終わることになっていました。CDの方式と同じであることに興味を感じます。 
  与太の会会員の島田 保氏からのお話
  映画サウンドとレコード円盤
 バイタホン方式  バイタホン方式の映写機 
 1927年にワーナー映画<ジャズシンガー>で採用された方式は、<バイタフォン方式>と呼ばれています。
 これ以前には、エジソンが発明をしたシリンダー式録音機を使用して<キネトフォン>と呼ばれていました。
 その他に<クロノフォン>、<バイオフォン>、<カメラフォン>、<シネフォン>等と呼ばれるものがあったようです。
 いずれにしましても<シリンダー方式>では量産が難しいので、1923年にベル研究所において<エレクトロ・マグネチックディスクカッター>が発明され、これを使用して<バイタフォン>が完成しました。
 <シリンダー方式>、<円盤方式>のいずれもフィルムをかけた映写機と同期を取ることが大変な作業で、機械的に連結されていたようです。
 しかしサウンドボックス方式の場合、再生機をステージフロントに置くことになります。(この頃はまだサウンドスクリーンはありませんでした)
 映写された画面を見ながら同期をとったようですが、大変であったことと思います。
 <バイタフォン方式>の場合は<WE-4Aオイルダンプ・ピックアップ>が完成していましたが、やはり同期をとるのは大変な作業であったようです。
 もちろん<真空管>、<増幅器>、<スピーカシステム>は全てそろっていました。
同期システム33-1/3回転の元になった同期システム 
  円盤の回転速度ですが、<33 1/3 r.p.m>に決められたのは、映写機と機械的に接続をするにはこの時期の標準であった<78 r.p.m>では早すぎて様々な問題があったこと、そして1巻分のフィルムの長さに対応できること等が考慮されて決められました。
 この回転数が決められたときに映写機のコマ送り速度が<24 コマ/秒>に決められました。円盤は<12 インチ>と<16 インチ>の2種類が用意されフィルムの長さに対応されて使われました。
 円盤再生機には<サウンドボックス方式>と<マグネチック・ピックアップ方式>の2種類が使われたようです。
 博物館で展示されていたものを見たことがありますが、両方の方式のものが展示されていました。
 またトーンアームは<16 インチ円盤>に対応するためか、長いアームが使用されていました。
 <16 インチの円盤>を使用すると<30分近く>の録音ができることになりますが、このような長い時間にわたって再生をする再生針はどのようなものだったのでしょうか?
 再生針の磨耗と音質の問題を解決する一つの手段として円盤の内側から外側に向かって再生をする方法がとられていましたが、<30分以上>の再生をするのは無理であると思います。
 再生針も特殊なものを使用したと聞いていますが、円盤も<20回>の使用が限界で、使用する度に円盤にマークをするようになっています。
 この翌年の1928年には現在使われているような光学式録音機が<RCAフォトフォン社>によって、続いて<ウェスタン・エレクトリック社(ERPI)>によって開発され完成されました。
 その結果上映用フィルムの製作ができるようになり、順次光学方式に変わっていきます。
 それ以前にあった光学録音機は<SOUND ON FILM 方式>ではありませんでした。過渡期には光学録音されたものを円盤に変換し、両方が使われていました。 

  

 【LPレコード】

 円盤型蓄音機  ← 円盤型蓄音機
円盤型の再生装置が出てきて一番のネックは演奏時間の短さでした。 
 ダブル・ディスク ← ダブル・ディスク・レコード
 78回転のレコードも始めは垂直方向にカッティングされていたために、盤が厚いにもかかわらず片面にしかカッティングがされていませんでした。
 カッティングが水平方向にできるようになると、盤の両面に溝が彫られダブル・ディスク・レコードという名前で広告がされました。
 この項目は写真がいっぱいあるので少しゆったりとスペースをとりましょう。

 手に持っているLPと同じ 次にLPレコードが出たことは再生の歴史にとって画期的なことでした。音質の向上だけではなく、長い時間音楽を楽しむことができたのです。上の写真は脇においてあるSPレコードの内容が手に持っているLPと同じだというコマーシャルです。
 カッティング風景 左の写真はLPレコードのカッティング風景です。
 

 【ソノシート】

 ソノシートというものがあったことを知っている方は少ないかもしれません。レコードよりは貧弱なものでしたが、雑誌の付録に付いていたり、<アサヒソノラマ>などという週刊誌(月刊誌だったかもしれません)も発行されていたり、安く手軽に手にはいるために子供心にも楽しみだった頃がありました。
 ソノシートは<33 1/3 回転>で使うようになっていましたが、<16 回転>で聞くことができる製品もあったようです。
 実際に現物は見たことはないのですがどなたかその点に詳しい方はいらっしゃいませんでしょうか。
 八幡 泰彦氏から次のような話がありました。
 <16 回転>のレコードは、車で音楽を聴くために開発されたとのことです。
 今のカーステレオの始めなのですが、レコード盤の大きさは現在のCD位の大きさであったとのことでした。
 結果は大変惨めなもので車の振動で針飛びを起こし、音楽再生ができる状態ではありませんでした。
 
 <16 回転>というのはレコードを再生するのにモータが出せる最低回転数であったようです。
 モータは高速で一定回転数を出すのは簡単なのですが、回転数が低くなると歪み等が目立ってしまいます。

  

 【スタンダード(規格)】
 最近国際規格として<ISO9000>が注目されています。製造各社が争って<ISO9000>の導入を進めています。
 製造会社間の製品を比較する上で<スタンダード(規格)>の設定は欠くことができない作業であり、明確な<スタンダード(規格)>を持っていない業界は社会的認知度も低いと言わざるを得ません。
 我々が日々の仕事としている<サウンドシステム>には明確な<スタンダード(規格)>が存在しているのでしょうか?この質問には否定的な見解しか述べることができません。 様々な音響機器を製造している会社が立派な製品カタログを作り、その性能を表示していますが、性能を測定した条件を明記しているカタログはほとんどありません。
 このような状況の下ではお互いの製品の性能比較をするのは無意味だと思われます。
 製品が持っている性能のほんの一部分しか使うことのない家庭用音響機器では<スタンダード(規格)>については機器の使用上の安全性を優先的に考えればよいのですが、製品が持っている性能を最大限に使わなくてはならない業務用音響機器では製品がどこまで使えるかを<スタンダード(規格)>として表示しておく必要があります。
 <サウンドシステム>の用途によっても<スタンダード(規格)>は変わってくると思います。大きなパワーを出すけれども2-3時間で終わってしまうコンサート用スピーカシステムよりも、四六時中サウンドを出す必要のある<バックグラウンド・ミュージックシステム(BGM)>や<マスキングノイズ・システム>に使うスピーカシステムの方が過酷な使用条件になることがあります。

 <サウンドシステム>に携わる人間の社会的地位を向上させるためにも<スタンダード(規格)>についてもっと前向きに考えるべきなのではないでしょうか。
 <定格入力>とか<許容入力>とかが一人歩きしていますが、測定法を変えればどのような大きな数値にもなるのです。
 <3 dB>能率が高いスピーカがあれば<1/2>の定格入力のスピーカと同じ出力を得られるのです。100hの許容入力を持っていて能率が90dBしかないラウドスピーカよりも50ワットの入力でも95dBの能率を持っているラウドスピーカのほうが大きな出力を出すことができるということを分かっておいてください。
 相手に説明するためには、しっかりとした規格を掴んでいることが大事なのです。ものの一面だけを見ているととんでもないことになります。特に大きな空間では規格を見る目を養うことも必要となります。
 数値の大きさよりもどのような条件でその数値が得られたかということを明記するのが正当手段ではないでしょうか。 

  

【スピーカシステムが1本しかなかったら】
野外ステージ  手元にスピーカシステムが1本しかない場合には、観客に対してサービスをするのか、それともアーティストに対してモニターとして返してあげるのか.......
 こんな禅問答のような話がサウンドシステムをプランニングする人々の間で交わされてきました。
 サウンドオペレータであれば即座に「アーティストにモニターとして返すのさ」と回答することでしょう。
 アーティストがのってくれれば観客にサウンドをサービスしなくても十分にサウンドが聞こえてくるほどの音が出てくるという結論です。 
 
  
 【イントレ】  
トーキーが始まったころの撮影風景トーキーが始まったころの撮影風景   1916年、映画の父と呼ばれるグリフィスが撮影した“イントレランス”という映画撮影の際に、下に車輪がついたやぐらの上にカメラを載せて俯瞰撮影をおこなった。  それからこのやぐらのことを“イントレ”と呼ぶようになったとの事です。

  

 【日本におけるアルテック・ランシングの代理店】
日本における代理店 アルテック・ランシングの日本における代理店は戦後5回ほど変わっているとのことですがはっきりとは分かりません。  1955年2月号における電波科学の広告には<関商事株式会社>という会社が<M21Bマイクロホン(真空管式コンデンサーマイク)>の広告を掲載しています。
 関商事株式会社は現在測定器の販売をしているとのことです。
 その後この会社がどのような盛衰をしたかはよく分かりませんが、業務市場に対応する代理店として、<(株)ニチオン>、<坂田商会>、<ヤマハ(株)>、<(株)エレクトリ>そして1987年から<(株)マークフォーオーディオジャパン>と引き継いでいます。
 (株)マークフォーオーディオジャパンは(株)イーブイアイオーディジャパンに社名変更しています。

   

 【マエストロ】
マエストロ49 アルテック・ランシングの資料のマエストロ50巻頭を飾っている指揮者の形をしたマークを私共は<マエストロ>と呼んでいます。
色々な形があります。マエストロ48
 <巨人達が地球を闊歩していた頃>に登場した<ジョン・ヒリアード>氏が考えてくれたのですが、有名な指揮者の<トスカニーニ>氏をイメージして作られたという説がありますが、今となっては誰も分かりません。
 非常に上品なマークで、これからもアルテック・ランシングがある限り長い間使われていくものと思われます。

 

 【パンケーキ】  

 755Aの写真
755Aの写真 
  
でき立てのにバターをのせ蜂蜜をいっぱいかけて食べるとおいしいものです。
 アルテック・ランシングの<755E 8 インチ ラウドスピーカ>が<と呼ばれていました。昔のカタログを見るとはっきりと<パンケーキ(PANCAKE)>と書かれています。
 奥行きがわずか<2-1/4 インチ(約57 ミリ)>しかないためにその形がに見えたところから名付けられたものと思います。 
755Eの写真 ←755Eの写真
 JBLの<LE8T>と肩を並べた評価を得ていて、琴の演奏で<絹弦とナイロン弦の違いが分かるラウドスピーカ>と言われていました。
 最近古いパンケーキを手に入れて聞いています。
 まだ食中毒にはなっていませんがこのサウンドの魅力に改めて惚れこんでいます。
 どこかでパンケーキを使っている方でご用が済んだ方は是非とも私宛に一方下さい。
 最近パンケーキを使っているという方が多くいらっしゃることがわかりました。 


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Vol.2

  

 【鉄仮面】
639 マイクロホン← 639 
 アルテック・ランシングは<スピーカ>だけではなく、<マイクロホン>、<ミキシングコンソール>、<プロセッサ>、<パワーアンプ>までの製造をしている総合業務用音響メーカです。
アルテック・ランシングのマイクロホンの中で一世を風靡した<639A/Bマイクロホン>はその姿形から<鉄仮面>と呼ばれていました。
 <639A/B マイクロホン>は<ダイナミック・コイルタイプのプレッシャ・エレメント>と<リボンタイプのベロシティ・エレメント>の組み合わせとなっており、両方が等しい信号を出すことができました。
 指向性パターンも6種類を切り替えができました。
 <639A/B マイクロホン>の信号を取り出すコネクタは今ではもう使われていない<422コネクタ>が使われていました。

 3年前<639A/B マイクロホン>を修理して欲しいという依頼があってアルテック・ランシングに送ったところ新品同様のサウンドとなって戻ってきました。
 昨年同じ依頼があってアルテック・ランシングに問い合わせをしたのですが、修理ができる方が年をとってしまいもう対応ができないとの連絡がありました。
 大変残念なことですが、今まで修理ができたということも驚きの一つです。
 ウェスタン 1142← 1142
 ウェスタンでの型番は1142と呼ばれており、出力トランスが違っていたとの事です。
 古い写真でビートルズが639を使ってインタビューを受けている写真が残っていますし、ケネディー大統領の就任演説にも639が使われています。

  

 【ゲームセンター】
イヤホーンがたくさんついた蓄音機  様々なゲームセンターがあちこちにありますが、目新しいものに飛びつくというのはいつの時代入っているめくり絵を見るというもので、オリエンタルランドとかで見ることができますが、蓄音機が発明されたときも一度に多くの人が聞くことを目的とする場所ができました。  左の写真は、一度に多くの人が聞くことができるように、イヤホーンがたくさんついています。
 ちなみに1回の料金は5セントだったそうです。
  
  
 【水中のサウンド】
水中スピーカ 水中スピーカ UW-30 
 シンクロナイズド・スイミングが一般的になり、高等学校のプールでも水中スピーカを標準装備することが多くなってきています。
 マークフォーオーディオの傘下の会社であるUSIでも昔から<UW30 水中スピーカ>を販売しており、アメリカ体育協会の認定商品となっています。
 潜水艦のソナー研究を目的とした無響水槽があるのですが、軍需機密のため周波数測定ができません。USIでも正式な風波数測定はしていません。
私がプールに水中マイクロホンを入れて測定した限りではかなり広い帯域が再生されてはいるのですが、実際にプールの中に入ってサウンドを聞くとクリスタル・イヤフォーンで聞いているようなシャカシャカとした高い周波数帯域しか聞こえません。耳道の中の空気が水で圧縮されるために低い周波数帯域が聞こえないのだと考えます。
 しかし<UW30 水中スピーカ>を体に抱くと低い周波数まで聞こえるのは骨格を通じてサウンドが聞こえるからでしょう。
 最近は<UW30 水中スピーカ>は本来の目的以外の使い方がなされています。
 例えば<養殖魚に対する給餌装置>、これは従来の生け簀を使った魚の養殖ではなく、大きな湾を締め切って大規模養殖をするものです。時間がくると魚が好きな信号を<UW30 水中スピーカ>から出して魚を呼び集めるというシステムにも使われています。
 酒、味噌、醤油の醸造にも<UW30 水中スピーカ>が使われています。貯蔵タンクの中にラウドスピーカを入れて四六時中サウンドを出して微妙な振動を与えると醸造時間を短縮できるそうです。
 まだまだ<UW30 水中スピーカ>の用途は広がりそうです。

  

 【アルニコとフェライト】 
604-8H  ← アルニコマグネットの604-8H
ラウドスピーカのマグネットは音響信号をサウンドに変える大きな働きをします。ベトナム戦争の最盛期に軍事物資であるコバルトの値段が高騰して、コスト的にラウドスピーカのマグネットとして<アルニコ>を使うことができなくなりました。その代替え?として<フェライト・マグネット>が使われたのですが、ラウドスピーカの音質が悪くなると言って一時<民生オーディオ市場>が冷め切ってしまったことがあります。

 604-8K  ← フェライトマグネットの604-8K 
 確かに<フェライト>の転換時にサウンドのイメージを崩してしまったメーカも幾つかありますが、一般の方が大騒ぎをするほど性能が変わってしまったとは思いません。
 なにしろラウドスピーカに永久磁石が使われ始めた時代には、全て<フェライト・マグネット>が使われており、その後安い磁性体材料として<アルニコ・マグネット>に変わっていったのですから.....
 
  
 【マグネットの形状】
四角いマグネットの409B← 四角いマグネットがついている409B
 アルテック・ランシングの<409B フルレンジスピーカ>をお客様からいただきました。
 かなり古いスピーカだったのですが、驚いたことにマグネットが四角形をしていたのです。 

 以前<755A >のマグネットに四角形をしていたものがあったのは知っていますが、現実に見たのは初めてでした。
 フェライトを円形に作るのが難しかったために四角形になったのだろうかと推測をしてみますが、本当の所はわかりません。
 どなたか教えていただければ幸いです。
  
  
 【スピーカの端子(極性の問題)】
 ウェスタン・エレクトリックの時代には、コンプレッション・ドライバの端子は<L1,L2>と表示されていました。
 <端子L1>はマグネット内部で一番遠いボイスコイルの巻端に行っていました。
 しかし<端子L2>はマグネット外側のボイスコイルの最終巻端に行っていました。
 そして<L1>に<+電圧>かけた場合には、ボイスコイルをギャップの外側に押し出しマグネットから遠ざける方向に向かわせました。
 ペーパーコーンである低域ドライバでは、マグネットとギャップはコーン紙の後ろ側にあります。ボイスコイルをマグネットの外側に押すことによって、圧縮波を作りながらスピーカ・エンクロージャの前にいる聞き手の方向にそれを押し出します。
 高域を再生するコンプレッション・ドライバでは、アルミニウム製のドーム型ダイアフラムはマグネットの後ろにあり、音は実際にマグネット内部の穴を通って動いています。これらのドライバのマグネットの外側の方向にボイスコイルを押すと、希薄波を作りながらホーンの前にいる聞き手から離れる方向に動きます。
 もっと古い時代の高域そして低域のドライバの<L1>と<L2>における電気的極性は、それ故同じ<運動極性>を作りますが、聞き手の位置において逆の音響特性を作ることになるでしょう。
 それをどのように解釈をして使うかは<L1,L2>とマークされている端子を持つコンポーネントを使用している全ての人々によって選択されるべきでしょう。
 アルテック・ランシングはウェスタン・エレクトリックからこの配列を受け継ぎ、その考え方を変え始めたのは1960年代の後半になってからでした。
 その時点ではアルテック・ランシングは一つの端子を赤にマーキングし始めました。それは赤い端子に<+電圧>をかけると聞き手の方向に圧縮波を常に作り出すようにしたことです。この変換が進む過渡期の数年間は端子を赤と黒に色づけするのと同時に<L1、L2>とマークが打たれていました。
 今日このシステムにおけるアルテック・ランシングの任務は、サウンド・リンフォースメントで使用されるコンポーネントの仕様書のためにAES(Audio Engineering Society)の新基準をまとめることです。AES RECOMMENDED PRACTICEの項目<2.1.5(高域ドライバ用)>と項目<4.1.5(低域ドライバ用)>では次のように定義されています。
 電気的端子、色づけによる分類、機器の極性の表記。標準の実行にあたっては、端子は赤と黒にし、赤端子に<+電圧>をかけるときその外側に正方向の圧力を発生するようにすること。
 私達はオーディオシステムの極性をあまり重要でないと考えてきました。スピーカシステムが同じ適切な音響極性となっていればよいのではないかと考えていたのです。
 しかし今日全てのスピーカの極性を反転することでシステムの聴感を変えるという、全く違った高度な判別力のある聞き方でサウンドを評価するようになってきました。極性を変えると瞬時にサウンドが変化したことがわかりますが、その評価は漠然としており言葉で説明することはできません。多くの聞き手は一つの極性を他に転換することによる強烈な印象を言葉で表すことでしょう。
 何故そうなるのでしょうか?自然界では多くの衝撃的なサウンドが圧縮波なのです。鉄砲の発射音、シンバルの叩き音、その他。長く続いている話では、付加的子音<t,p,b>と擦過子音<f,s>は、唇と舌を通って吐き出す空気によって作り出されます。耳を通過する全てのサウンドは空気の瞬間的な希薄化圧縮のどちらかを聞いているということで、後者の自然さを好むことが多いのです。
 長い時間にわたって高度な聞き方をするスピーカの使用者は、全体のシステムで極性を反転して聞くテストが有効であることに気づくことでしょう。

 

 【スピーカシステムのマルチ駆動はいつ頃から始まったのか】
スピーカ組込み型バイアンプの770B ← 最初のスピーカ組込み型バイアンプの770B 低域が50h、高域は30hの出力。500,800,1500Hzの周波数切り替えができた。

ディバイディング・ネットワークを使わずにマルチ駆動をする試みは1933年に既に始まっていました。
 マルチ駆動にすることにより高域と低域のスペクトラムを個別に駆動することになるため、ラウドスピーカの内部変調を極端に減らすことができます。
 これはパッシブタイプのネットワークが悪いといっているわけではなく、より安いコストでサウンドシステムを組めるということです。
 現にアルテック・ランシングの604シリーズを使った製品としてオーディオテクニックス社の<ビッグ・レッド(BIG RED) システム>、ウーレイ社の<タイム・アライン(TIME ALIGN)システム>はネットワークに空芯コイルを使うなどかなり手の込んだ仕上げのネットワークを使用しており、アルテック・ランシングのオリジナル製品とはまた別の好評を博していました。

 アルテック・ランシングでも1台のパワーアンプにクロスオーバ周波数を変更できる<チャンネルディバイダ>と低域と高域の<パワーアンプ>を備えた製品が幾つか販売されていました。

 スピーカシステムの中に組み込み可能な<1224 バイアンプ>、<100 ワット>の低域用パワーアンプと<50 ワット>の高域用パワーアンプが入ってラックに組み込める<1609A バイアンプ>の2種類です。
 ミキシングコンソールの出力にチャンネルディバイダを組み込んだ【1220AC】のような製品もありました。
 今はその上に低域と高域用の電源が別々になっている製品もあります。
 現在はフィルタ特性やカーブを自由に変えられる<ディジタル・チャンネルディバイダ>が主流となりつつあり、アルテック・ランシングでも<DTS スピーカシステム>を使う場合にパラメータ設定の必要がない<4024A ディジタル・プロセッサ>が発売されました。
 あるホールにおいてネットワークで使われていた<A7 スピーカシステム>を<4024A ディジタル・プロセッサ>を使ってマルチ駆動をしたらサウンドが見違えるように変わったという報告も来ています。
 604についても同じ事が言われています。ぜひお試しを!

    

 【マルチ駆動事始】 
9025←9025

 

 アルテックに9025という製品がありました。9025-1が500Hz,9025-2が800Hzのクロスオーバ周波数を持っていました。
入出力とも600オームの結線をしなくてはいけなかったのですが、電源もいらないことと、マルチ駆動をしたときのサウンドの素晴らしさで魅了されたものでした。
パワーアンプが2チャンネル必要であったので、その頃はパワーアンプの値段が今よりも高価であったために、システム価格が安かった当時のシステムには使えなかったことが悔やまれます。
 
  
 【1220AC ミキサー】    
1220ACミキサー

 この前の文章で<1220ACミキサー>のことを書いたら様々な方々から<1220AC ミキサー>にまつわる思い出を語ってもらいました。
 まず10本のマイクロホン入力。
 バーティカルフェーダでトリムボリュームはついておらずマイクロホン入力のみ。今から考えると使い勝手の悪いミキシングコンソールです。
 モニター回路は<A、B>切り替え。
 イコライザは<100 Hz>と<10 KHz>の2バンド。
 スプリングリバーブが内蔵されており、移動するときはロックを忘れると壊れてしまうし、オペレーション時にも卓に思いっきり触れると大きな騒音を発生する。

リミッタ回路内蔵。
 モノラル出力。
 ただし<500 Hz>または<800 Hz>でクロスオーバが取れるバイアンプ・チャンネルディバイダ内蔵。この時期にしっかりとマルチ対応となっていたのです。
<入力>、<モノラル出力>、<極性>を表示する<VUメーター>が付いており、内部照明の調節ができるようになっていました。
 この光量調整機能が今までにはなかった気配りで、大変重宝をしたとのことです。 
 電源は<120 ボルト>製品しかありませんでしたが、<24/28ボルト>のバッテリで使えるようになっており、電源部が壊れても<DC アダプタ>さえあればすぐに対応することができました。
 ポータブルケースに入っており、棒状の脚をねじ込んで使えるようになっており、その脚もケースの中に収納できるようになっていました。
 「こんな製品が欲しいな!」という需要に応えて実現した商品で、当時はバーティカルフェーダが付いたミキシングコンソールは<1220AC ミキシングコンソール>しかなく、コンサートシステムとしてだけではなくホールのメイン調整卓として日本中でかなりの数量が使われていたと記憶しています。

  
  

 【アルテック・ランシングのスピーカの特長】 
 
高い能率
 アルテック・ランシングのスピーカシステムの特長として<高い能率>を持っていることがあげられます。
 ラウドスピーカが高い能率を持っているということは、ラウドスピーカに大きなパワーを入れなくても大きな音響出力を出すことができることを意味しており、小さなパワーしか入っていなくても周波数特性のバランスが取れたサウンドを出すことができるということです。  人間がささやき声で話をしても人間の耳にはしっかりと聞き取ることができるのと同じです。
高い忠実度
 言い換えれば<サウンドの再生忠実度>が優れているという事です。
 スピーカの評価をする際に大多数の方は入力パワーしか見ませんが、スピーカの性能を表す仕様には<定格入力>、<能率>、<最大出力>、<周波数特性>、<インピーダンス特性>、<指向係数と指向指数>、<指向性>等があり、その全てを読み取ってスピーカの性能を評価できる力が求められます。
 最近パワーアンプの能力が上がってかつ価格が安くなってきたために、スピーカシステムに大きなパワーを加えて大きな音量を得れば良いのではないかという話を聞きますが、これは<音量を出す>ことと<表現力を出す>ことが違うということがよくわかっていない方の論理で、私としては、スピーカシステムは絶対に能率が良くなくてはならないと確信をしています。
 確かにパワーを思いっきり入れないとその能力を出せないスピーカシステムが最近は多くなっているというのも事実なのですが.........
 
デジタル時代に求められること
 特に音源がディジタルの時代になってきて、ダイナミックレンジが大変に広くなってくると、小さな音量でもまた大きな音量でも同じ音質のサウンドが出せる能力をスピーカシステムに求められるのですが、そのためにも<高い能率>を持ったスピーカシステムが必要となってきているのです。
  ディジタル方式のサウンドシステムを研究している方から、能率が高いサウンドシステムが欲しいという要望もよく聞くようになりました。

   

 【ダンピングファクタ】 
 よくスピーカシステムとパワーアンプの相性はというお問い合わせをいただきますが、周波数特性が良く、十分なヘッドマージンを持っていてダンピングファクタが大きいパワーアンプであればサウンドシステムとしては完璧であると思っています。
 <ダンピングファクタ>というのはラウドスピーカを制御する能力をいいます。特にウーハの音色はダンピングファクタの要素が利いてきます。
 ラウドスピーカはパワーがかかると磁界によってボイスコイルが動かされてサウンドが出てくるのですが、このときにマグネットとコイルによってボイスコイルが動くのと反対方向に動こうとする逆起電力が生じます。
 正常な動作が逆起電力に勝っていればよいのですが、<ダンピングファクタ>の小さいパワーアンプを使うとスピーカが力のない貧弱なサウンドとなってしまいます。特に低い方の周波数に顕著に現れてきます。
 <ダンピングファクタ>の劣化は最高の性能を持ったスピーカシステムとパワーアンプを使っても発生します。
 パワーアンプとスピーカシステムを結ぶスピーカケーブルが<ダンピングファクタ>に影響を与えることになります。スピーカケーブルの抵抗値が増えれば増えるだけ<ダンピングファクタ>は劣化するのです。
 サウンドシステムの<ダンピングファクタ>を確保するにはスピーカケーブルの抵抗値を少なくすればよいのです。即ちパワーアンプとスピーカシステムの距離を短くするかスピーカケーブルの太いものを使えばよいのです。
 それでもダメであればリレハンメル冬期オリンピックのサウンドシステムのように<210ボルト>ラインのハイボルテージ伝送を検討してみて下さい。

  

 【メガ・システム】  
モントレイ・ジャズフェスティバル←モントレイ・ジャズフェスティバルで使われたアルテックのサウンドシステム 

 スピーカシステムを多く使うということは、それだけ多くのパワーアンプを使うということです。
 パワーアンプを多く使うと、その発熱を押さえるための空調設備も必要となりますし、大きな給電設備も用意しなくてはならなくなります。
 

 また、どのようなサウンドシステムにも共通していえることですが、聞き手に供給する音圧を<3dB>大きく設定すれば<2倍のパワーを持ったパワーアンプ>を用意しなくてはなりませんし、それに伴って何倍かの能力を持った空調設備と給電設備を用意しなくてはならなくなります。
 大きなサウンドシステム(:メガシステムと呼んでみましょう)ではこれらのシステムは基本的に大きくなっているわけですから、むやみに大きな音圧を要求すると、パワーアンプや空調設備、給電設備を収納する建物を含めた巨大な予算増加になることを頭に入れておいて下さい。
 <3 dB>で2倍、<4 dB>で4倍、<10 dB>で10倍、<20 dB>で100倍のシステム増加となるのです。
  
  
 【パッシブとアクティブ】
 サウンドシステムの周波数調整に使用する<イコライザ>は、1930年代にシステムのフィードバックを防ぐことを目的に作られました。
 1968年にアルテック・ランシングは<アコースタボイシング(Acousta Voicing)>とそれを測定しながら調整するヒューレット・パッカード社と共同開発をした<8050A リアルタイム・アナライザ>を発表しました。
 1981年に各周波数帯域をブーストできる<アクティブタイプのイコライザ>が出てくるまでは、周波数帯域をカットしかできない<パッシブタイプのイコライザ>が主流となっていました。それはもちろんイコライザを使う主目的がフィードバックを防止してハウリングを起こさないようにすることにあったからです。
 よく周波数調整をするのに<アクティブタイプのイコライザ>を使っているシステムを見かけますが、フィードバックを防止することを主目的とする<プロセッシング系統>にはカットを主体とした<パッシブタイプのイコライザ>を使うべきではないでしょうか。
 <アクティブタイプのイコライザ>は<ヘフェクト系統>に使ってもっと思いっきりサウンドにメリハリをつけるべきです。

  

 【MC】   
The Master of Ceremonies MCといえばもちろん司会者のことですが、その語源は<マスター・オブ・セレモニー(The Master of Ceremonies)>で、セレモニーを司る支配者の意味です。  小学館から<Word's Word,What's What:英語図詳大事典>が出版されており、その中に<演劇/芸術と工芸>という項目があります。ステージ、舞台、楽器等の細部の英語名詳が記載されています。
 眺めているだけでも日長1日を過ごすことができる辞書ですので是非1度書店で手に取って読んでみられるのもいかがでしょうか。

 

 【上手と下手】  
 左利きを右利きに矯正する習慣がなくなりましたが、{箸を持つのが右手で、茶碗を持つのが左手}、{弓を持つのが右手でそれを<弓手>、馬を制御するのが左手でそれを<馬手>}、{船を接岸する場合には必ず左舷接岸でそれを<ポートサイド>、右舷は<スターボード>}というふうに左右を区別する言葉は意外に多いものです。
 舞台用語でも、客席から見た右側が<上手>、左側が<下手>となります。これを<上手[ジョウズ]>、<下手[ヘタ]>と読んだスタッフがいたと1973年にキョードー東京から発行された<プロフェッショナル・ロック>には書かれていました。
 ちなみに英語では<上手>は客席に向かって<左側(L:the left side of the stage)>何となく視点が日本と逆ではないかと感じるのは私だけでしょうか。

  

 【校章と交渉】  
 学校で体育館と講堂を兼用で使うことが多いのですが、体育館として使う場合にはある程度の残響感が欲しいのに対して、講堂として使う場合にはスピーチの明瞭度を確保するために残響時間は短い方がよいというふうに同じ施設を矛盾をした使い方をしなくてはなりません。
 これらの施設では予算的にも<残響処理>などはできない相談ですから、スピーチの明瞭度を確保できるサウンドシステムを設計する必要があります。スピーチの明瞭度が低い施設では、<話の内容が聞こえない>→<話に興味がわかない>→<隣同士で話を始める>→<施設全体が騒がしくなる>→<サウンドシステムのボリュームを上げる>→<もっと騒がしくなる>という悪いプロセスに進んでいきます。ある小学校に明瞭度が高いサウンドシステムを納入したのですが、「生徒のおしゃべりがなくなって話をよく聞いてくれるようになった。」と先生から感謝されたことがあります。 
 明瞭度の高いサウンドシステムの重要さはおわかりいただけると思うのですが、私としてはより明瞭度が高いシステムとするために舞台間口の真上にスピーカシステムを付けたいのですが、そこには必ず校章が付いています。何度交渉をしても校章のおかげで必ず<NO>と言われてしますのです。
 これは教会のサウンドシステムについても同じです。スピーカシステムを付けたい場所はほとんど聖域なのです。 
  高田 昇一氏から電話をいただきました。
  校章が付いている場所がスピーカシステムを設置するのに最適ということを考えて、役所と交渉をして幾つかの体育館で実際に施工をしてみたそうです。  結果は上々で、今はこの方法が標準となっているとのことでした。
  校章と交渉という入力にワープロがおたおたしています。
 論理的な説明ができればスピーカを取り付ける場所を譲っていただけるという証明です。
 校章の位置にスピーカシステムをつけたのは我々の主張を通していただいたとして、今は校章はどこに付いているのでしょうか?
 また新しい疑問が発生してしまいました。

  

 【本日は晴天なり】  
 現代のサウンドオペレータはコンサート会場のオペレータ席で<アー>とか<シー>とマイクロホンを使ってサウンドシステムのチェックをしています。
 おそらく様々な調子の音を出して周波数特性、出力レベル、クリッピングレベル、ハウリングポイントを調べているのでしょう。
 昔、サウンドシステムの動作状態をチェックするのにマイクロホンの前で<本日は晴天なり>と言っていました。
これは英語圏で<It's a fine day,today.>と言っていたものを直訳したようですが、<It's a fine day,today.>には吹音、子音、母音がうまく入っていて、サウンドシステムの動作状態までチェックできるのに対して,<本日は晴天なり>という言葉にはサウンドシステムを使う上で日本語を表現する難しい要素は全く入っていないのではないかと思います。
 破裂音、疑濁音、吹音そしてみ濁音がうまく入った言葉が作れないものでしょうか。
 例えば<動物園のパンダがミカンを持って失踪しましたのでご注意下さい。>というのはいかがでしょうか。

  

 【パワーアンプをヒートする】
  オーバーヒート

 パワーアンプに使われているディバイス、特にパワートランジスタやICには性能を最大限に発揮できる動作温度があります。
 パワーアンプを太陽が直接照りつける野外で使い続けるとオーバーヒートを起こして壊れてしまうことがあります。
 またパワーアンプ自身が発生する熱も大変な量で、特に大きな出力を持つパワーアンプをラックにマウントする場合にはラック内の換気にはかなりの配慮を払う必要があります。
 大型のサウンドシステムでは、パワーアンプを設置する部屋全体を冷却することが常識となっています。

 これとは逆に寒い場所でパワーアンプを使うとどうなるでしょうか。3年前の韓国大統領選挙では<−20°から−30°>となるような野外で何万人もの人々を集めて遊説演説会が開催されたそうです。PA機材を積んだ車が使われましたが、電源を入れてもサウンドシステムから全く音が出ず、急遽ボンベが付いた簡易コンロをパワーアンプの下に置き、火を付けてパワーアンプをあぶったところしばらくすると音が出るようになったとのことです。
 機器の性能がすばらしく良くなったと言っても動作環境には心配りをする必要があります。
   
  
 【扇子(センス)と団扇(ウチワ)】  
 スピーカが壊れる原因として、大きな振幅が入って<物理的破壊>を起こす場合と、大きな信号が入って<熱的破壊>を起こす場合の2種類が考えられます。
 コンプレッション・ドライバではクロスオーバ周波数を<500 Hz>付近で取ると大きな振幅による<物理的破壊>が始めに起こりますし、<1,000 Hz>付近で取ると<熱的破壊>で壊れること多くなります。
 またコンプレッション・ドライバでは<500 Hz>でクロスオーバを取ると定格入力が<50 ワット>でも<1,000 Hz>にすると<75 ワット>になります。
 スピーカユニット、特に低域に使うウーハに長い時間パワーを入れていくと目玉焼きが焼けるのではないかと思うほどのすごい熱が発生します。
 ラウドスピーカに熱が発生してくると、<ボイスコイルの抵抗値が大きくなり>、<バックキャビティの空気温度が上がってダイアフラムの動きが悪くなる>ためにパワーを加えた通りに音響出力が出てこなくなります。これを<ラウドスピーカの熱損失>と呼んでいます。
 <ラウドスピーカの熱損失>は低域のシステムだけではなく、高域のシステムにも起こりますが、高域のシステムの方がその影響は少ないようです。
 ボイスコイルに使用するマテリアルの違い、構造の工夫により多少の差はありますが、どのようなラウドスピーカでも抱えている宿命であるといえます。
 過去に測定したことがありますが、あるウーハに<250 ワット>のパワーをかけた場合よりも<500 ワット>のパワーをかけた方が熱損失により出力が少なくなってしまうという現象を起こします。
 この発熱現象を検知してラウドスピーカにかけるパワーを制御することによってラウドスピーカの最大能力を出そうと言うのが今はやりの<プロセッシングコントロール>方式のサウンドシステムなのですが、ラウドスピーカに入るパワーを検知するために<センス・ケーブル>をパワーアンプとラウドスピーカとの間にはらなければなりません。
 このような<センス(扇子)・ケーブル>を取り付ける面倒を防ぐにはラウドスピーカを常に冷やす機構を付ければよいわけで、団扇であおぐのも一つの工夫ではないでしょうか。
 プロセッシングシステムがデジタル化していって、信号の応答速度が上がることによってセンスバックシステムがいらないようになりました。その上コンプレッサーやリミッターにサイドチェインをかけることができるようになり、スピーカーユニットのいちばん弱いポイントだけを保護できるようになったのでサウンド全体に影響を与えることなく音質の変化を最小限にとどめることができるようになりました。
 <扇子と団扇>という落ち話でした。

  

 【スピーカから火が噴いた】  
 ボイスコイルは<電熱器> ラウドスピーカが燃えるという経験をされたことがあるでしょうか?
 ラウドスピーカに強い振幅を加えてボビンがマグネットに当たったり、大きなパワーを連続的に入れ続けたりすると、ボイスコイルのボビンが変形をしてボイスコイルのワイアが抜け落ちることがあります。
 ほとんどはこの段階でボイスコイルが切れてサウンドが出なくなるのですが、ボイスコイルが切れずにいると出力が小さくなるのですがサウンドが出続けます。出力が小さくなるとオペレータの方はラウドスピーカにもっとパワーを入れることになります。そうなるとボイスコイルは<電熱器>のコイルと同じになってしまいます。ボイスコイルがボビンに正常についていれば、マグネット構造体を伝わって熱は危険な温度までは上昇しないのですが、はずれてしまったボイスコイルは発火点まで熱が上昇してしまいます。結果としてラウドスピーカから火を噴くことになるのです。
 サウンドが急に小さくなってしまった場合には、むやみにパワーを上げないで下さい。


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Vol.3
  §【ホーンあれこれ】§

 【マルチセルラホーン】

 マルチセルラホーン
 アルテック・ランシングの前身であるウェスタン・エレクトリック社は1925年に現代のようなスピーカシステムの製造を開始しています。
 70年も前に既にコンプレッション・ドライバのイメージが出来上がっていたわけです。
 (24,25,26と名づけられた)マルチセルラホーンも1933年に完成しています。24と25は全面がフラットな形状をしており、26は後のマルチセルラホーンと同じ形状をしています。
 24Aは4×3のセルを持っており594コンプレッションドライバーがつくように設計されていました。
25A←25A
 25Aは555と594コンプレッションドライバーがつくように設計されており、5×3のセルを持っていました。
 26Aは5×3のセルを持っており、594コンプレッションドライバーがつくようになっていました。
 マルチセルラホーンはご存じの方も多いと思いますが、ブリキの板を張り合わせて作られています。
 アルテック・ランシングにも永年にわたってマルチセルラホーンの製造に携わってきた方がおり、熱く燃えた炉の前で一定の形に切った鉄板を一枚ずつ張り合わしていました。
 アルテック・ランシングのマルチセルラホーンの型番は、<セルの数>と<最低再生周波数>で決められていました。
 <203B>、<803B>、<1003B>、<1503B>,<805B>、<1005B>、<1505B>、<1803B>といった具合に、聞き手に対するサービス範囲に応じて様々な製品が用意されていました。
 より大きな音圧を確保するためにコンプレッション・ドライバを2個取り付けることができる<ダブルスロート>も用意されていました。
 例えば<1803B>という型番を持ったマルチセルラホーンは、<横に6セル>、<縦に3セル>合計で<18セル>の開口部を持っており最低<300 Hz>までの周波数再生ができました。
 最初の頃と言っても1960年代の始め頃までは、共振を防止する材料がなかったためにマルチセルラホーンの中に砂を入れて使うようになっており、米国から輸入されたマルチセルラホーンに施工前に砂を詰め込んでからエンクロージャの上に持ち上げたことがあるという経験がある施工会社の方がまだいらっしゃいます。
 1005B ←1005B
 映画のメインシステムに使うスピーカシステムはスクリーンの上下方向の2/3くらいの高さで使うことが常識となっていますので、砂を詰めたマルチセルラホーンを決められた位置まで持ち上げるのはさぞかし大変な作業ではなかったかと思います。
 共振防止剤ができてからはこのような作業をする必要はなくなったと思いますが、A7のセクトラルホーンの上に砂袋を置いておられる方はまだいらっしゃるのではないでしょうか。 
 島田 保氏からの手紙

 1927年に使用が開始された<バイタフォン方式>に使用されたシアタースピーカシステムはホーン型ラウドスピーカが主流でした。有名な<WE-555W コンプレッション・ドライバ>と<15A エクスポーネンシャル・ホーン>の組み合わせシステムです。
 周波数特性は現在では考えられないような<100 Hz - 5,000 Hz>といった大変狭いものです。:私があるお宅でこのシステムのサウンドを聞いたことがありますが、そこから流れてきたビートルズはしびれるような美しさでした。
 しかしながらレコードの持っている再生周波数特性の対してはこれで十分な値でした。 これと同時期に発売されていた<RCAフォトフォン方式>ではコーン紙を使ったスピーカユニットをショートホーンのエンクロージャに組み込んで使っていました。
 1932年にウェスタン・エレクトリック社(WE社)は設計の変更をおこない、<3ウェイ方式のスピーカシステム>を製作しました。低域(300 Hz以下)は<18 インチのウーハ>を、中域(300-4,000 Hz)はホールデッドホーンにコンプレッション・ドライバを、高域(4,000 Hz以上)はベル研究所で製作された<BOSTIC-type TWEETER>が使われていました。しかしこのシステムは位相整合がうまくいかず失敗に終わりました。
 1933年ベル研究所で<2 ウェイのラウドスピーカ(周波数特性が40 - 10,000 Hz)>の開発が始まりました。
 1934年RCA社と共にMGMスタジオでオーケストラのサウンド再生のデモンストレーションがおこなわれました。このときRCA社は低域のスピーカシステムの開発に力を入れたようです。この時点でウェスタン・エレクトリック社はコーンタイプのスピーカシステムを持っていませんでした。なぜならばコーンスピーカの特許はGE社が所有しており、GE社の子会社のRCA社だけがその特許を使えたからでした。RCA社としては低域用として大きなコーンスピーカによるラージスロートのホールデッド・ホーンを設計したようです。(この時点ではウェスタン・エレクトリック社はジェンセン社が製造をしたコーンスピーカを使っていました。)
 高域についてはコンプレッション・ドライバとスモール・スロートの<マルチセルラ・ホーン>が設計されました。
 その当時の映画劇場は<3,000 - 5,000 席>の座席を持っていた大規模な空間であったために、MGM社の要望で高域システムに広い指向性を持った製品が作られました。<1803B>といった多くのセルを持った製品ができたのもそのような背景があったのです。
 その後中小規模の映画劇場が建てられるようになって幾種類もの<マルチセルラ・ホーン>が作られました。(フィリップス社の資料には20セル(4x5)の製品が掲載されていました。)
 1940年スピーカのマグネットは励磁器(エキサイタ)を使って磁場を作る電磁石タイプから永久磁石を使った製品が出てきました。
 それ以降シアターラウドスピーカシステムは続々と改良が加えられてきます。低域用のホールデッド・ホーンが直接輻射位相反転型ショートホーンとなり、高域用システムは<ラジアル・ホーン>や<セクトラル・ホーン>そして<マンタレイ・ホーン>が作られていきました。

 <参考資料>:アルテック・ランシング伝承の歴史
 

 
 ホーン・スロート・ドライバー
  

 【セクトラルホーン】


  
 31A 
 31A、329A,311-60,311-90,511A,511B,511E,811Bというセクトラルホーンがありました。3が頭についているホーンはカットオフ周波数が300Hzで5が500HZ,8が800Hzと非常に分かりやすい型番がつけられていました。
 329Aは米国音響学会の標準ホーンになったこともあり、全ての製造会社のコンプレッションドライバーが329Aに取り付けられて測定されました。
 ホーンとスロート
 511/811ホーン
 1995年8月6日アルテック・ランシングの<511Bセクトラルホーン>が製造中止となった連絡が入りました。これは<511B セクトラルホーン>を製造するために必要な<金型>が老朽化したためで、1949年から46年間続いた製造が完了することになりました。
 これでアルテック・ランシングの<セクトラルホーン>は全て生産を完了したことになります。
 <セクトラルホーン>独自の音色を愛していた方々も多く大変残念なことです。
 311-90は90度×40度の指向角度を持っており、311-60は60度×40度の指向角度を持っていました。大きな空間で遠距離用には311-60が使われ、近距離用には311-90使われましたが、指向性の違いで微妙な音色の違いが出ていました。
 511Eは1.4インチ径のコンプレッションドライバーを取り付けることができ小型でありながら大きな音圧を出すことができました。 
 311ホーン

 【マンタレイホーン】   

マンタレイ・ホーン

 定指向性ホーンの先鞭を担った<マンタレイ・ホーン>のマンタは、海を悠々と泳ぐ<エイ(マンタ)>を意味しています。
 

 <マンタレイ・ホーン>を開発している途上で、ホーン後部に発生するビームがなかなかとれずそのポーラパターンが<エイ>に似ていたためにその名が付いたとのことです。
 アメリカ人のネーミングのおもしろさを感じる話です。
 マンタレイホーンは用途に応じて1.4インチスロート径のコンプレッションドライバーが付く大型マンタレイホーン<MR42>,<MR64>,<MR94>、MR42とMR94にはドライバを2本取り付けることができるYスロートが用意されていました。
 同じ1.4インチ径のコンプッレッションドライバーを取り付けることができる中型のマンタレイホーンである<MR542>,<MR564>、<MR594A>,<MR5124>もありました。
 1インチスロート径のコンプレッションドライバーを取り付ける<MR994>もでき全8機種のマンタレイホーンが様々な用途に使われてきました。
     

 【非対称ホーン】


 非対称ホーン 非対称ホーンというと聞きなれない言葉ですが、上方向と下方向の垂直指向性が異なった非対称形をしているために名づけられました。
  上方向に10度、下方向に30度という非対称形をしていたのが、MR931-12ホーンでMRという型番からも分かるようにマンタレイホーンと同じ定指向性能を持っていました。
  ホーンを下方向に傾けなくてもサウンドが降ってきますので、スピーカシステムを取り付ける奥行きが少ない空間で使うスピーカシステムに組み込まれました。
 9842-8A,937,9872スピーカシステムに使われており、映画館のサラウンドスピーカシステム、劇場の効果用スピーカシステム、スタジオモニターシステム、会議室のメインスピーカーシステム、またアンダーバルコニースピーカーシステムとしても使われました。
  MR931-12と同じ性能をもったホーンがエレクトロボイスのFRX122という製品に使われています。
   
  

 【バリ・インテンスホーン】


  バリ・インテンスホーンといってもなじみが無いと思います。
 バリ・インテンスホーン空間が長細くて遠距離用のスピーカと近距離用のスピーカが2本必要な場合が多くあります。これを1本のスピーカで対応しようということで開発されたのがバリ・インテンスホーンです。
  開発に10年以上の年月がかかりましたが、他社の製品が放射パターンの制御しかできないために、近くの聞き手と遠くの聞き手が聞くことができるエネルギーに多くの差が出てしまったことに対して、バリ・インテンスホーンはホーンがカバーする範囲全体で均等なエネルギーを供給することができました。
 バリ・インテンスホーン(その2 マンタレイホーンの一種ですが、長方形の放射パターンをしていたバリ・インテンスホーンがVIR、台形の放射パターンをしていたバリ・インテンスホーンがVITと名づけられました。
  このホーンを小型にしたシステムがエレクトロボイスのEVI15,EVI12,EVI28スピーカシステムに使われています。
 2本のスピーカを使うよりも小型で軽量なため、宴会場、会議室、教会、体育館、学校の講堂に多く使われています。 

 【デッドニング】


  
 デッドニング剤が焼付けされていましたホーンの素材に金属(板)が使われていた頃(マルチセルラホーン、300シリーズホーン、初期のマンタレイホーン、511E)、ホーンが大エネルギーで共振するのを防ぐために外側にデッドニング剤が焼付けされていました。
 元は粘土のような材料ですが、これをホーンの表面に塗りつけた上で熱を加えて硬くするのです。この分だけ重量が増えてしまうので施工する上では厄介なものですが、ホーンの共振は確実に止めてくれました。
  ホーンの素材に強化プラスチック(FRP)が使われるようになってデッドニング処理は必要なくなりましたが、あの多少共振気味な高域のホーンくささが消えて金管楽器の微妙な音色が消えてしまったと思うのは私だけでしょうか。 
   

 

 §【コンプレッションドライバーあれこれ】§

  【マグネット】

マグネット   コンプレッションドライバーの話を始める前にラウドスピーカに使われている磁石の話をしましょう。高性能な永久磁石が無かった頃、電磁石と同じようにコイルを巻いて磁石にしたフィールドタイプ・マグネットが使われていました。
 信号ケーブルの他に電磁石用のケーブルを配線し、励磁用の電源を設けなければならないという面倒がありましたが、エネルギー効率は今のラウドスピーカよりも高いものでした。
  電気回路が発展して小型化できるようになった今、もう一度フィールド・マグネット型のラウドスピーカが考えられてもよいのではないでしょうか。 

 【ダイアフラム】

ウェスタン・エレクトリック社がアルミニウム振動版
コンプレッションドライバーというのは名前の通り、振動版の動作範囲を圧縮してサウンドエネルギーを前に出そうという意図を持って造られたものです。
 1925年ウェスタン・エレクトリック社がアルミニウム振動板と絞り込みリボンエッジ・ボイスコイルを持ったコンプレッションドライバーを製造しました。
555→ウェスタン・エレクトリック社555
 ダイアフラムの材質としてはベークライト、シンビオテック樹脂、アルミニウム、パスカライト、チタンが知られていますが、なんと言ってもボイスの忠実度再生にかけてはアルミニウムに勝るものはないと思います。

 【再生周波数帯域】


 アルテックの290トランペットスピーカーに使われているコンプレッションドライバーは全帯域(100Hz〜8KHz)で使うことができ、チャンネルディバイダーやディバイディング・ネットワークを使う必要はありません。ただ低域における過振幅を防ぐためにハイパスフィルターをかませておく必要はあります。
 アルテックの290シリーズは300Hz以上の帯域を再生でき300Hz以上を再生できるホーン(MR42,MR64,MR94,203B,803B,1003B等)と組み合わせて、陸上競技場や広域警報システムに使われていました。
左の写真は290コンプレッションドライバーにマッチングトランスを組み込んで使う場合の断面図です。
 731シリーズも全天候対応で使うことができます。
 288,291,292、299,802,806,807,808,902,908,909といったコンプレッションドライバーは500Hz以上での再生を目指しています。
  余談ですがアルテックのコンプレッションドライバーの定格入力は500Hz以上の信号を入れた場合の数値を記載していますが、1KHz以上の信号を再生すれば良い場合には定格入力の数値は1.5倍に増えます。よく定格入力が大きいとか小さいとか言いますが、測定された条件を良く見て判断する必要があります。測定された条件が記載されていない場合には製造会社に確認をして使う必要があります。
 コンプレッションドライバーの理論的高域再生限界は13KHzと言われており、それ以上の周波数帯域を再生する場合にはツイーターを使う必要がありましたが、299シリーズの登場により高域エネルギーを多く出すことが可能になりました。 

 【フェージングプラグ】


 フェージングプラグダイアフラムとスローとの間に位置して、高域エネルギーの位相整合をはかるのがフェージングプラグと呼ばれています。通常は同心円状にスリットがカットされているのですが、ウェスタンの594コンプレッションドライバーで放射状にカットされたタンジェリンフェーズプラグが誕生しました。
 タンジェリンフェーズプラグは位相の整合性がより一層きれいに取れるだけでなく、コンプレッションドライバーの出力を大きくするのにも役立ちました。
タンジェリンフェーズプラグ
 タンジェリンフェーズプラグはその切り口がみかんの輪切りに似ていた事と当初オレンジ色をしていたためマンダリンとも呼ばれていました。
 左の写真の少し盛り上がった部分が802-8Gに使われていたタンジェリンフェーズプラグですが、その後290,731を除く全てのコンプレッションドライバーにこのフェーズプラグが使われることになりました。後には黒いタンジェリンが出てきました。 

 【スロート】 

  マルチセルラホーンとダブルスロートアルテックのホーンが様々な目的に使うことができた理由のひとつが、コンプレッションドライバーを2本取りつけることができるダブルスロートが用意されていたことにあるのではないでしょうか。  マルチセルラホーンとMR42,MR94にダブルスロートが用意されていましたが、MR64はその構造上かなり複雑なスローと構造になるという理由でダブルスロートは用意されていませんでした。
  
   

 【コンプレッションドライバーのインピーダンス】


 ダブルスロートに対応するためだけではありませんが、アルテックのコンプレッションドライバーに使われていたダイアフラムには、8オームだけでなく16オーム、24オーム(288、292シリーズのみ)、
32オーム(288シリーズのみ)そして4オーム(290シリーズのみ)のインピーダンスを持ったダイアフラムが用意されていました。 

 §【エンクロージャーあれこれ】§ 

 【ミラーサウンドの写真】


  
 ミラーサウンドの写真
アルテックからキャビネットの設計という資料が出ています。
キャビネットについては色々な方が書かれていますので、いまさらと思っているのですが、いつか翻訳をしてみようと考えています。  ウーハーは最初からエンクロージャーに組み込まれていたと思っていたら、バッフル板には取りつけられていたが後面にキャビネットはなかったようです。
  ここにミラーサウンドの写真がありますが、ホーンロード後面に取りつけられたウーハーが剥き出しに見えています。
  515ウーハー4本を鉄のアングルに取り付けた写真も見たことがありますし、太鼓の皮のサウンドを出す場合には負荷がないほうがリアルのようですが、どのように過振幅を防止していたのでしょうか?
  アルテックのエンクロージャーの歴史を語るような図がありますのでお見せしましょう。

  エンクロージャーあれこれ
 
 

 【ウィング】


  
 上の図面の210や410の両側に取り付けられたボードをウィングといいます。
  昔このボードはエンクロジャーの共振面を大きくして低域のエネルギーを増幅するものだと言われていましたが、映画館のスクリーン裏で使うような場合にはスピーカーシステムと後壁との距離がほとんどなく、エンクロージャーの後ろから発生する低域エネルギーが反射して、その波形がスピーカーシステムから出る波形と干渉を起こして低域成分の現象を起こしかつ歪を多く発生してしまうため、ウィングを付けて反射波の跳ね返りを防ぐために使われたのだということが分かりました。
  現在THXでスピーカーシステムを施工する場合にはスクリーン裏全てにボードを張りスピーカ部分だけカットして、その上で隙間全てに鉛剤を詰め込むという入念な作業をおこなっています。もちろんスクリーン裏にはこれでもかというほどに吸音材料を張り込み、スクリーン後方壁面からの反射音が出るのを防ぐ処置をしています。
  スクリーン裏を吸音するだけでも低域の音量が増加し、歪の少ない低音再生が可能となります。
   
  

 【ウーハーの取り付け】


フロントマウント
  ウーハーをエンクロージャーに取り付ける方法は大きく分けて全面から取り付ける方法(フロントマウント)と後面から取り付ける方法(リアマウント)の二通りあります。家庭で使う場合にはフロントマウントの方が便利なのですが、映画館や劇場のプロセニアムスピーカーのように後ろからしかスピーカーを取り出すことができない場合にはリアマウント方式の方が便利になります。
  ウーハーを取り付けるバッフルの厚さも多少の負荷となりますので、リアマウントにする場合にはその点に注意を払ってください。
 リアマウント
  ウーハーをバッフルに取り付ける場合には、長い年月の間には何度も脱着作業をすることがありますので、モクネジで木部にもみ込むのではなくTナットを使ってバッフルを挟み込むような加工をおこなってください。
  アルテックの515シリーズ(515Bの後期モデル以降)、3000シリーズの15インチモデルは、後面から取り付けることができるようにフレームの直径は16インチありました。 

 【ギャザードエッジとウレタンエッジ】


スピーカ断面(アルニコ
 コーン紙を使ったスピーカーユニットの外周部には色々な材料が使われています。
昔から一般的なエッジはギャザードエッジと呼ばれるもので、服のギャザードと同じように波打った形状をしています。
 スピーカ断面(フェライト
このギャザード部分のやわらかさを維持するためにダンプ剤というものが塗られており、ギター再生等に使われる楽器用のスピーカーには比較的薄めのダンプ剤が、忠実度再生を必要とされるスピーカーには濃い目のダンプ剤が塗られます。
 このダンプ剤は温度が高い場所で使われたり、長い年月が経つと溶け出して下にたれてきますので注意をしてください。
 ギャザードエッジよりもやわらかいためにもっと低音を出すことができるのがウレタンエッジです。ただし劣化しやすくもろくなって崩れ去ってしまうことが多いようです。 
  

 【アルテック・ランシングとベル研究所】


  
 実験をするグラハム・ベル ← パリ博覧会で電話の実験をするグラハム・ベル 
 サウンドシステムの歴史は電話機の変遷と同時進行をしています。
  これは電話機を見ていただければよくわかるのですが、電話機の話をする部分かマイクロホン、電話機の音を聞く部分がスピーカであると考えていけば手早く理解をいただけるのではないかと思います。
  ですからウェスタン・エレクトリック社もアルテック・ランシングも電話システムの創設会社である<ベル研究所>とは切っても切れない関係を維持してきました。
   

 【アルテック・グリーン】


  かつてアルテック・ランシングの製品(ホーン、ウーハフレーム、エレクトロニクス)は非常に美しい緑色に塗装されていました。この緑色を<アルテック・グリーン>と呼んでいました。色名でいうとボストングリーンとなるのでしょうか。
  アメリカのドル紙幣も俗称で<グリーン>と呼ばれているようですが、アルテック・ランシングが出していた資料の中に<グリーン(アルテック製品)でグリーン(ドル紙幣)を手に入れる方法>というのがあったような気がします。 
 現在は<アルテック・グリーン>で塗装された製品は全くありませんが、エンクロージャやホーンは<アルテック・グレイ>という色で塗装されています。社団法人日本塗料工業会の塗料用標準色見本帳で見ると<T69-50D 10B6/2(近似)>が一番近い色のように思われます。グレイにブルーを混ぜたような色です。
  <アルテック・グレイ>が使われている理由は、長年にわたって固定されて使われスピーカシステムにはほこりが積もっていきます。黒だとか白で塗装された製品はほこりが目立って汚らしく見えるのですが、<アルテック・グレイ>はほこりが一番目立ちにくいとのことです。
   

 【エコー・マシーン】


  
  ディジタル機器の発達によって、エコーやリバーブを簡単にかけることができるようになりましたが、戦後日本にホールが登場した頃にはエコーマシーンどころかエコールームすらなく、エコーをかけたい場合にはホールのトイレをエコールームがわりに使ったそうです。
  大便所のドアに毛布を掛け、望ましいエコータイムが得られるまでドアをひとつづつ開けたり閉めたりしていたとのことでした。
  せっかく苦労して録音を始めても水洗装置が自動的に働いてしまって全ての苦労がだめになったこともあったそうです。
  これを<音入れ(おトイレ)も水の泡>というのかもしれません。
 かつては残響をかける装置のことをエコーマシーンといっていました。初期反射音を設定したり、他の空間の音場を畳み込んだりといった細かい作業ができなかったのは事実です。
  デジタル技術の進歩に合わせてこの分野の製品が多数出てきました。すべてリバーブマシーンと呼ばれているような気がしています。
  先日子供の科学雑誌の付録でついていたリバーブマシーンを見ました。大きな紙コップの間にスプリングがついた簡単なものですが、しっかりとリバーブがかかっていました。
   
  

 【シネマ・サウンド】


  
 ジャズシンガー 
  エジソンが<キネトホーン・トーキー映画システム>を開発して以来、業務用サウンドの発達は映画のサウンドの発展と共に歩んできました。
  1927年に上映された<ジャズシンガー>がサウンドシステムを本格的に取り入れた始めての映画となりました。歌のシーンだけにサウンドが使われていて、台詞には字幕が入っていました。
  エーアンドエム・スタジオの創立者であるチャップリンは、トーキーがはやり始めた後でも台詞に字幕を入れることにこだわり続けたと聞いています。
  皆様の中にもご存じの方がおられるものと思いますが、この頃使われていた渦巻き型のホーン<ウェスタン・エレクトリック社のモデル15 ホーン>は開口部が背丈くらいある巨大なものだったのですが、先日そのサウンドを実際に聞く機会がありCDを使って音を出してみたら確かに周波数帯域は満足がいく広さではありませんでしたが、現在のアルテック・ランシングのサウンドと通じるものがあり、特にサウンドの忠実性については現在のアルテック・ランシングがしっかりとその伝統を引き継いでいるという実感を得ることができました。
   

 【ステレオフォニック】


  
 ステレオフォニック 初期のステレオシステム 
  映画にサウンドが入ってきてからすぐに、サウンド技術者達はサウンドに立体感を持たせて再生をするというテーマに取り組んできました。
  この過程の中で映画館のような大きな空間でスピーカシステムを幾つ使えばステレオ感を得ることができるかという実験をおこなっています。
  その実験で得られた結論は、スピーカシステムを一つ使うシステムはもちろん<モノラル>ですが、大きな空間ではスピーカシステムを2台使って左右に置いただけでは真ん中のサウンドが抜けてしまいステレオ感が得られませんでした。
 そのためスピーカシステムを左右に2本置くシステムは<バイフォニック>と呼ばれました。
  左、右、センターに合計3台のスピーカシステムを使うことによって始めてステレオ感を得ることができ、それが<ステレオフォニック>と呼ばれるようになりました。
  ただし<バイフォニック>でも<ステレオフォニック>でもスピーカの間隔を<20フイート(約 6 メートル)>以上離してしまうと音像が結ばなくなってしまいます。
 この実験ではスピーカシステムを6台以上使ってもそれほど立体感に関する効果がそれほど変わらないことがわかりました。

   典型的な70ミリシステム
 典型的な70ミリシステム 

  <70 ミリ>の映画でスクリーンの裏に5台のスピーカシステムを使うのはそういうこともあるのかもしれません。 
  
 5-1システムの原型
 5-1システムの原型
  THXシステムになってからサラウンドシステムがステレオになりました。L,C,Rスピーカーの間のシステムがスーパーローに変わってきました。これを5-1システムと呼びます。
  サラウンドシステムに後方システムが加わったものを6-1システムと呼びます。
       

 【映画のフィルム】


    映画のシステムというのは既に70年近くの工業的な歴史があり、ある面では完成され切った完璧なシステムであるといえます。
  映画のサウンドシステムについて説明された資料も多数ありますので詳細についてはそれらをお読み下さい。
  <70 ミリ>の映画ではこのフィルムの中に<6トラック>のサウンドが入っています。
  スクリーンの裏側に設置された5台のメインスピーカとサラウンドに対する1チャンネル分のサウンドが入っています。
  <35 ミリ>のフィルムには<磁気方式>と<光学方式>の2種類のサウンド再生方法がありましたが、<磁気方式>の耐久性がないこととドルビーシステムの発達に伴い、現在は光学方式が主流となっています。
  光学録音にも2種類あることがわかりました。
  光が通る波形の幅を変えてエネルギー量を変えることによってサウンドを再生する方式と、波形の濃淡を変えてサウンドを再生する方式です。大映という映画会社があった頃はこの濃淡方式が主流であったと聞いています。
  黒沢 明監督が<磁気方式>にこだわり続けておりますが、上映をする映画館はその対応に大騒ぎをしなくてはならないようです。<磁気方式>のフィルムに<光学方式>の信号が焼き付けられている作品もありました。
 光学録音ヘッド 光学録音ヘッド 
  <光学方式>にもアナログとディジタルの2種類があり、また両方の音源が1本のフィルムに全て含まれているものも出てきています。<SRD>、<DTS>、<SDDS>方式がディジタル方式といわれるものですが、全ての方式ともフィルムに損傷が生じた場合の対応として、<ドルビー光学方式>に切り替えることができるようになっています。
  博覧会で見られる巨大なフィルムの<アイマックス>、<オムニマックス>はフィルムと同期をしたCDからサウンドを再生しているためディジタル方式と同じ高品質なサウンド再生をすることが可能です。
   

 【アルテック・ランシングとJBLとの関係】

  
 ランシング
 アルテック・ランシングとJBLの関係を聞かれますのでお話をしておきます。
  JBL社の資料に色々記載されていますのでここでは多くは述べる必要がないと思いますが、アルテック・ランシングのスタッフから聞いた内輪の話をしてみたいと思います。
  JBLの創設者である<ジェームス・B・ランシング>さんは2子の兄弟でした。イタリアからの移民でそのもとの名前は伝えられていませんが、米国では似合わない名前でしたので、東部から西部へ仕事を探しにいく途中で<ランシング>という町を通りかかったときにその名前をもらったとのことです。
  西部に来てスピーカの製造を始めましたが、その業績はあまり良くなく、1941年にアルテック・ランシングに買収されました。<ジェームス・B・ランシング>さんはアルテック・ランシングでも数々の業績を残してくれましたが、その偉業をたたえるためにアルテック・ランシングでは<515G シリーズ低域ドライバ>の裏側の銘板にはアルテック・ランシングの商標は使っておらず、<ランシング>という名前だけを付けて発売を続けています。
  <ジェームス・B・ランシング>さんはアルテック・ランシングを辞めた後でJBLを創設しましたが、偉業半ばで自ら命を絶っています。
  2子の兄弟のもう一人はアルテック・ランシングに定年まで在籍をしていたそうです。
  ついでにアルテック・ランシングの社名はウェスタン・エレクトリック社の製造・サービス部門であった<オール・テクニカル・サービス・カンパニ(ALL TECHNICAL SERVICE COMPANY[ALTEC])>から来た名前ですが、アルテック・ランシングの中でも会社に古くからいる方はアルテックと言わずにオールテックと発音しています。
  ランシングさんが1946年に映画技術協会に書かれた604開発時の論文を見つけました。そのうち“永遠の604”の中に加えるつもりです。
   

 【604 シリーズ デュプレックス(Duplex)ラウドスピーカ】

604E

  
 【604 デュプレックス・スピーカ】は1944年に完成しました。潜水艦のソナー用のスピーカーユニットとして開発されてきましたが、第二次世界大戦には間に合いませんでした。
  アルテック・ランシングのサウンドシステムがもつ特長の一つとして、全ての製品が同じサウンドポリシーを持っていることがあげられます。
  ですからアルテック・ランシングのスピーカシステムは<メインスピーカ>として使った大きなシステムでも<サラウンドスピーカ>として使った小さなシステムでも同じサウンドがするということです。
  <604 シリーズ デュプレックス(Duplex)ラウドスピーカ>は特に様々なサウンドシステムに使われています。
  最近はホール等でもシーリングスピーカやウォールスピーカとして使われており、<立正佼成会の普門館>、<愛知芸術劇場>、<宝塚大劇場>、<大阪の飛天劇場>には50台以上の604が使われています。
  もちろんフロアモニターとしても多く使われており、スタジオモニターしての評価をそのまま引き継いでいます。
  アルテック・ランシングの話ではオーディオブームの頃には毎月200本くらいの604を日本に出荷していましたが、現在でも日本が世界で一番【604 デュプレックス・スピーカ】が売れている国であると言っていました。
  604はその定位の良さが一番の売り物で、スタジオモニターやご家庭のスピーカシステムとして多数の販売をさせていただいております。
  スタジオモニターの話で思い出しましたが、1973年にはビルボード社の調査によればアルテック・ランシングのスピーカシステムが<レコーディング・スタジオ>で一番多く使われているという調査が出たこともありました。
  604と同じ形をしていてマグネットの磁束密度が多少小さい605という製品もありました。
 604についてはこの文章の一番最後に永遠の604という副題を付けてその沿革を述べていますのでご覧ください。

 


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Vol.4

 【ディズニーとアルテック・ランシング】

  
  ディズニーランドは1955年にロスアンジェルスに誕生しました。
  アルテック・ランシングも長い間ロスアンジェルス・ディズニーランドに隣接したアナハイムに本社機構と工場を置いていました。
  アナハイムではそれ以上の工場設備の増設が難しかったために現在は4万エ−カの敷地を持ったオクラホマシティに本拠地を置いています。
  先日ソニーのエンジニアの方がアメリカのディズニースタジオに行ったところちょうど<ライオンキング>の録音をしていたそうです。
  そこで使われていたモニタースピーカがアルテック・ランシングの製品だったのですが、非常に古い<A1スピーカシステム>だったそうです。<A1 スピーカシステム>が5セットスタジオの中に設置されて使われていたとのことでした。
  <A1 スピーカシステム>というシステムは高さが2メートル以上ある<210エンクロージャ>を4台つなげシステムです。
  <210 エンクロージャ>は縦にして使うように設計されていますが、これを横型にして使えるよう<211エンクロージャ>が用意されていました。
  <210 エンクロージャ>には<515シリーズの15 インチウーハ>を2個組み込んで使います。
  日本では<A1 スピーカシステム>が京都会館に唯一納入されています。
  <210 エンクロージャ>を1本と高域ホーンを1本組み合わせた2ウェイシステムが<A4スピーカシステム>で1950年半ばにできたシネラマ劇場を始めとして、<70 ミリフィルム>を再生する多くの映画館で使われていました。
  日本劇場を見に来たTHXの技術担当者がTHXシステムよりも良いサウンドがしていると言って帰ったという話があります。
  マルチ駆動をしたらどのようなサウンドがしていたのでしょうか
  ディズニースタジオの話を続けましょう。
  ソニーのエンジニアの方はスピーカの大きさにびっくりしただけでなく、昨年世界で一番ヒットをして最高の興行収入を稼ぎ出した映画に何故こんな古いモニタースピーカを使っているのかということに疑問を持ちました。
  この疑問をスタジオの責任者の方に聞いたところディズニースタジオのサウンド製作のポリシーに合うスピーカシステムは<A1>しかないから使っているのだと言っていたそうです。
  戦後販売されたスピーカの80 パーセント以上の補修パーツを今でも供給できるアルテック・ランシングであるからできる実績かもしれません。
  話が蛇足になりますが、<210 エンクロージャ>にはエンクロージャの側面に取り付けるバッフル板が付属されて出荷されていました。
  このエンクロージャの梱包方法は大変乱暴なもので、エンクロージャに直接梱包材が釘付けされていました。
  そんなことよりこのバッフル板なのですが、施工される方は平面バッフルを追加することによって無限大バッフルに近づけて低域特性を伸ばすのだというふうに説明されていましたが、アルテック・ランシングのエンジニアの話ではこのバッフル板によってスピーカ後面の壁から反射してくる音を遮断して、低域歪みを取るのだと言うことでした。
  特に映画館のように後部壁面がすぐそばにある場合には大変有効とのことです。
  THXの施工資料を見てもスピーカシステムの前面を全て厚い積層合板で塞いでいますので、この説は正しいと思います。私が見たTHXの取り付け現場ではこの合板の隙間を鉛の板で丁寧に塞いでいました。後ろから来るサウンドにもかなりの配慮が必要なのです。
  アルテック・ランシングとディズニーは非常に密接な関係を持っています。
  <カリフォルニア>、<フロリダ>、<フランス>、<日本>にあるディズニーランドには非常に多くのアルテック・ランシングのスピーカシステム、パワーアンプ、エレクトロニクスが使われています。
  ディズニーの要求によって開発された製品は数えきれません。
  <4、000 チャンネル>ものパワーアンプを限られたスペースに設置しなくてはならないため、カード式のパワーアンプである<インクリメンタル・パワーアンプ>が開発され日本以外のディズニーランドに納入されています。
  ディズニーとの契約によりどこに何が使われているかをお話しすることはできませんが、驚くほどの数量のアルテック・ランシング製品が使われていることは事実です。
  今度ディズニーランドに行かれた際にどこにどのような製品が使われているかを探ってみるのもいかがでしょうか。

 【A7 スピーカシステム】

 A7 スピーカシステム
 
  A7について書くためにはアルテックの全てを語らなければなりません。
 アルテック・ランシングの【A7 スピーカシステム】は1949年に発売が開始されました。それ以来様々なモデルが出てきましたがその基本ポリシーは、1インチスロート径のコンプレッションドライバーとホーンロードのエンクロージャーに組み込まれた15インチのウーハを使った2ウェイ・フルレンジシステムであることです。ホーンについては最初のモデルにはセクトラルホーンが使われていましたが、最終モデルはMR994マンタレイホーンが使われました。原則としてクロスオーバーネットワークが使われていましたが、クロスオーバー周波数は500,800,1200Hzの3種類が使われていました。
 ホーンをエンクロージャー内部に組み込んで使うこともできました。
  A7についても604と同じような歴史を書き連ねることができるのですが、残念ながらまだ完成していません。当たり前のスピーカーシステムでありすぎてÅ7の歴史的資料は意外と少ないのです。
  1970年の始めには日本では【A7 スピーカシステム】は高価であったため多くを使うことができず、たった2本の【A7 スピーカシステム】で5千人の集会のサウンドを受け持っていたとのことです。
 【A7 スピーカシステム】は完成以来その外観はほとんど変わりがありません。しかし<タンジェリン・フェーズプラグ>の採用、<515Gシリーズ低域ドライバ>の採用、<500,800,1200 Hzのクロスオーバ切り替え>等々新しい素材を次々に採用し、その時代の要求に確実に応えることができる性能を発揮しています。形は同じでも性能は向上してきているのです。
  <タンジェリン・フェーズプラグ>で高域の位相を整合すると同時に音響出力を増大しています。
  <515Gシリーズ低域ドライバ>は低域の能率を2倍にしてくれました。アルテック・ランシングが製造している製品の中で<最大のマグネット構造>を持っており、<アルミニウム・フラットワイアのボイスコイル>、<非常に軽いコーン・アッセンブリ>、<低い歪みの布製サスペンション>を持っています。
  ウーハでありながら<4,000 Hz>までの帯域を再生できますので、クロスオーバ周波数付近でのサウンド再生を非常に滑らかにしてくれます。
  バスホーンタイプのエンクロージャに組み込んで使用できる唯一のウーハといえます。
 【N1285-8B ネットワーク】はクロスオーバ周波数を<500 Hz,800 Hz,1200 Hz>の3種類に切り替えることができます。
  スピーチが音楽や効果音と同時に再生されるような音源の場合にはクロスオーバを<500 Hz>にしてお使い下さい。映画館で【A7 スピーカシステム】を使う場合には全てクロスオーバを<500 Hz>にしてあります。
  スピーチだけが単独で再生されるような音源の場合には<800 Hz>のクロスオーバがよい結果を得ることになります。
  コンサート等で生の楽器の再生をする場合には<1,200 Hz>のクロスオーバを使用すると、アルテック・ランシングとは思えないほどのパンチのあるサウンドを再生できます。  

 【A7 ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)スピーカシステム価格の変遷】


  
  1970年以降のアルテック・ランシング価格表を譲り受けました。
  その中のアルテック・ランシングを代表する<A7 ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)>の型番とその標準価格を記載してみましょう。
 
1970年6月1日
<A7-500-8(416-8A,511B,808-8A,N-501-8A)> 335,500 円
<A7-8(416-8A,811B,807-8A,N-801-8A)> 301,600 円
使用エンクロージャは<825B バスホーンエンクロージャ> 124,500 円
1973年4月1日
<A7-500-8(416-8A,511B,802-8D,N-501-8A)> 281,000 円
<A7-8(416-8A,811B,806-8A,N-801-8A)> 247,700 円
使用エンクロージャは<825B バスホーンエンクロージャ> 98,400 円
1974年9月1日
<A7-500-8(416-8A,511B,802-8D,N501-8A)> 298,000 円
<A7-8(416-8A,811B,806-8A,N801-8A) > 272,300 円
使用エンクロージャは<825B バスホーンエンクロージャ> 112,100 円
1975年4月1日
<A7-500-8(416-8A,511B,802-8D,N-501-8A)> 343,300 円
<A7-8(416-8A,811B,806-8A,N801-8A)> 313,200 円
使用エンクロージャは<825B バスホーンエンクロージャ> 112,100 円
ここまでの価格表にはエンクロージャの価格を別に記載してありました。
おそらく物品税の関係でシステム価格ではなかったものと思われます。 
1975年9月1日
<A7-500-8(825B,416-8A,511B,802-8D,N-501-8A)> 343,300 円
<A7-8(825B,416-8A,811B,806-8A,N-801-8A)> 313,200 円
1976年10月1日
<A7-500-8(828B,416-8B,511B,802-8D,N501-8A> 343,300 円
<A7-8(828B,416-8A,511B,806-8A,N-801-8A)> 313,200 円
1978年10月21日
<A7-X(828C,416-8B,511B,802-8G,N-1201-8A)> 305,000 円
<タンジェリン・フェーズプラグ(R)>が登場 。
1979年6月21日
<A7-X(828C,416-8B,511B,802-8G,N-1201-8A)> 325,000 円
<A7-XP(828C,416-8B,511B,808-8B,N-1209-8A)> 347,000 円
1980年1月1日
<A7-X(828C,416-8B,511B,802-8G,N-1201-8A)> 437,000 円
<A7-XP(828C,416-8B,511B,808-8B,N-1209-8A)> 458,000 円
1980年7月
<A7-XPF(828C,416-8C,511B,908-8A,N-1209-8A)> 447,000 円
<A7-XF(828C,416-8C,511B,902-8A,N-1201-8A)> 417,000 円
<フェライト・マグネット>時代になりました。
1981年6月
<A7-XPF(828C,416-8C,511B,908-8A,N-1209-8A)>  447,000 円
<A7-XF(828C,416-8C,511B,902-8A,N-1201-8A)> 417,000 円
1982年7月
<A7-XPF(828G,416-8C,511B,908-8A,N-1209-8A)> 520,000 円
A7-XF(828G,416-8C,511B,902-8A,N-1201-8A)> 486,000 円
<A7-500-8E(828G,416-8C,511B,902-8B,N8500-8A)> 491,000 円
1983年3月8日
<A7-500-8E(828G,416-8C,511B,902-8B,N8500-8A)> 491,000 円
1983年11月1日
<A7-500-8E(828G,416-8C,511B,902-8B,N8500-8A)> 491,000 円
<811B セクトラルホーン>が製造中止となりました。
1985年1月21日
<A7-500-8E 製品構成が記載されていません> 600,000 円
<A7-500-8G 製品構成が記載されていません> 642,000 円
1985年4月1日
<A7-500-8E(828G,416-8C,511,902-8B,N1285-8A)> 600,000 円
<A7-500-8G(828G,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 642,000 円
1986年9月
<A7-8G(828G,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 542,000 円
アルテック・ランシングの取り扱い代理店が(株)マークフォーオーディオジャパンに変更。
1988年4月
<A7-8G(828G,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 520,000 円
1989年4月
<A7-8G(828H,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 490,000 円
<A7/MR994A(828H,515-8G,MR994A,909-8A,N500-8H)> 470,000 円
1990年11月
<A7-8G(828H,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 530,000 円
<A7/MR994A(828H,515-8G,MR994A,909-8A,N500-8H)> 500,000 円
1991年10月1日
<A7-8G(828H,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 530,000 円
<A7/MR994A(828H,515-8G,MR994A,909-8A,N500-8H)> 500,000 円
1993年6月1日
<A7-8G(828H,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 530,000 円
<A7/MR994A(828H,515-8G,MR994A,909-8A,N500-8H)> 500,000 円
1994年10月1日
<A7-8G(828H,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 470,000 円
<A7/MR994A(828H,515-8G,MR994A,909-8A,N500-8H)> 420,000 円
1995年8月1日
<A7-8G(828H,515-8G,511B,902-8B,N1285-8B)> 416,000 円
<A7/MR994A(828H,515-8G,MR994A,909-8A,N500-8H)> 317,000 円
1996年1月1日
<A7/MR994A(828H,515-8G,MR994A,909-8A,N500-8H)> 360,000 円
<511B セクトラルホーン>が製造中止となりました。
     
 
【A7裏話】

  1978年<A7 スピーカシステム>のクロスオーバ周波数が従来の<500 Hz>から<1,200 Hz>に変更されました。
  この処理によってコンプレッション・ドライバの定格入力が倍以上になったのですが、映画関係者の方々から<高倉 健>の声が出なくなったときついおしかりがありました。
  同じドライバ構成でもクロスオーバ周波数が変わってしまうとシステムのサウンドイメージが変わってしまうということです。
  しかたなくネットワークを<N-1285-8A>から<N-1209-8A>に変えてみたのですが根本的なイメージは変わりませんでした。
  これは1983年に<N-8500-8A>が発売されて<500Hz>と<800 Hz>にクロスオーバー周波数を選択できるまで変わりませんでした。
  今ではシネマサウンドにはクロスオーバ周波数は<500Hz>が定番となったようです。
  現在<A7 スピーカシステム>にはクロスオーバー周波数をを<1,200 Hz>、<800 Hz>、<500 Hz>の3種類に変更できる<N1285-8B ネットワーク>を使うことができますので、当方が工場で出荷をする<500Hz>だけでなく、クロスオーバ周波数を切り替えてそのサウンドの違いを試してみたらいかがでしょうか?
  おそらく今まで皆様が考えていたのとは違う<A7スピーカシステム>の姿を発見できるのではないでしょうか。

  

 【2 ウェイ スピーカシステムのクロスオーバ周波数】

  <2 ウェイ>のスピーカシステムでクロスオーバ周波数が<500Hz>または<800 Hz>に決まった理由をお話ししてみましょうか。
  一般的なスピーチ帯域を再生する<2ウェイスピーカシステム>の再生周波数帯域は<40Hz から8 KHz>となります。
 この場合に低域と高域のエネルギーバランスが均等にとれる分割周波数は<40x 8,000 = 320,000 そしてその逆二乗が 566 Hz>となるのです。したがってこの付近の周波数である<500Hz から800 Hz>にクロスオーバ周波数が決まっていったとのことです。
  もちろん再生帯域がもっと広い、音楽を再生するような<2ウェイスピーカシステム>のクロスオーバ周波数が<1,000 Hz>以上となることは明白です。

  
  

 【ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)】

 ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)
 【A7 スピーカシステム】はアルテック・ランシングの<ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)シリーズ>の一つです。
 <ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)>というのは劇場でスピーカを使用する上で非常に名誉な称号ですが、この名称はMGMが劇場で使用するスピーカシステムの標準機種を決定する際に<RCA>と<ジェンセン>そして<アルテック・ランシング>との3社の開発競争の結果勝ち取ったものでした。
  3社ともウーハを2本組み込んだ<バスホーン方式>の低域システムと、コンプレッション・ドライバ1本を使った高域システムを組み合わせた製品で鳴き較べをし、その結果<アルテック・ランシング>がその栄誉ある名称を勝ち取ることができたのです。
  <A1>から始まって<A2>、<A4>、<A5>、<A6>、<A7>、<A8>そして<A10>まで多くの製品構成を持っています。
  <A10/MR945A>は<THX 認定>も受けています。
  昔アルテック・ランシングには<24 オーム>のダイアフラムを持ったコンプレッション・ドライバがありましたが、これは3本のコンプレッション・ドライバを1本のホーンに取り付けた製品があったからです。
【A7 スピーカシステム】に使われている<ホーンロード・バスレフタイプ>の低域システムは、その<高い効率>、<優れた指向性制御能力>、<聞き易い音質>といった特長を持っているため、<広島県総合体育館>、<広島国際会議場>を始めとして世界中で広く使われています。
  一時<ホーンロード・バスレフタイプ>は使いものにならないと言う強い批判を受けたことがありますが、これらの批判が間違っていたことは世界中の多くの納入実績が証明をしています。
   家庭用として開発されたA820 写真はA7の家庭用として開発されたA820でコーナー形をしています。
  

 【ホーン内蔵スピーカシステム】

 ホーン内蔵スピーカシステム <A7 スピーカシステム>はシネマサウンドの再生用に開発されましたが、ホーンがエンクロージャの上に載っており、移動型スピーカシステムとしては多少使いにくい構造となっています。
  ホーンが内部に収納できればどれだけ使いやすいスピーカシステムであることかとお思いになった方は多いのではないでしょうか。
  実は<A7 スピーカシステム>のエンクロージャである<828エンクロージャ>の内部にホーンを取り付ける機構があるのです。
  アルテック・ランシングは1949年に<A7 スピーカシステム>を開発したときから既に低域と高域が一体となったスピーカシステムをイメージしていたのです。
  最近<A5 スピーカシステム>のホーンも中に入れられないかという依頼がありましたので試してみましたら、なんと<A5 スピーカシステム>のホーンも<828 エンコロージャ>の内部に納めることができました。
  これで緞帳バトンに引っかけて吊り上げてしまうというトラブルも解消できるのではないでしょうか。
  <A7 スピーカシステム>のホーンをエンクロージャの内部に組み込む方法、<A7 スピーカシステム>をもっと上手に使いこなす方法について知りたい方は、<A7 スピーカシステム組み込みマニュアル>を用意しておりますのでご請求下さい。

  

 【828 エンクロージャ】


  
 828エンクロージャ <825 エンクロージャ>から綿々と作り上げられてきた<828 エンクロージャ>はホーンロードとバスレフを組み合わせてできているエンクロージャです。
   <30 Hz - 120 Hz>までがバスレフ動作に、<120Hz - クロスオーバ周波数>までがエクスポーネンシャル・フレアホーンで動作をするようになっています。
 またこのバスレフ部分に隠れた構造があります。
  <周波数調整パネル(Adjustable Panel)>がボルトで止められており、2段階に調整することができます。<周波数調整パネル(Adjustable Panel)>を1段上げると<100 Hz>のサウンドが<1 dB>上がるのです。
  <周波数調整パネル(Adjustable Panel)>を全開にしてクロスオーバ周波数を<1,200Hz>にすると<A7 スピーカシステム>とは思えない明るいサウンドが飛び出してきます。
  <A7 スピーカシステム>はもう古くて使えないと思っている方に是非一度試していただきたいと思っています。
  参考までに同じホーンロードバスレフとなっている<816エンクロージャ>は<200 Hz>で、<817 エンクロージャ>は<150 Hz>でバスレフとホーンロードの動作が分かれるようになっています。
     

 【A7あれこれ】


 A7とA5の違いを説明するのにマグネット強力型という言葉があったことを思い出しました。A7のウーハには416シリーズが、A5のウーハーには515シリーズが使われていました。515は416よりも磁束密度のおきなマグネットが使われていました。
  A7にも2種類ありました。磁束密度が大きな802シリーズ・コンプレッションドライバーと小さな806の2種類があり、802は511Bに組み込まれて500Hzのクロスオーバー周波数を持ったN501シリーズネットワークで、806は811Bに組み込まれて800Hzのクロスオーバー周波数を持ったN801シリーズネットワークで使われていました。
  もっと大きな定格入力を持たせたいということで、807,808という磁束密度が違うコンプレッションドライバーもありました。808の方が強力なマグネットを備えています。
  フェライトマグネットになってからマグネットの違いを持った製品がなくなり、902と908に統一されましたが、大きな定格入力と広い周波数帯域を備えた909シリーズが出た段階で1機種に絞られていきました。

 【A5スピーカーシステム】  

A5スピーカーシステム
A5スピーカーシステムにはそれこそ色々な製品がありました。基本的な形式は515ウーハー1本を825を原型とするエンクロージャーに組み込み、1個の288コンプレッションドライバーを様々なホーンに取り付け、16オームのネットワークで駆動する2ウェイ・パッシブ駆動スピーカーシステムを言います。
 
  800シリーズ・スピーカーシステムがおそらくA5の起源だと思います。マルチセルラホーンが付いてエンクロージャーの周りをバッフルで取り巻いていますが、シネマスクリーンの後ろに設置して使う上での基本的な形であると思います。
  最終製品であるA5/MR594Aはホーンがマンタレイホーンに変わり、システムのインピーダンスは8オームでした。A7の強力型と言われていましたが、311-90,311-60といった指向角度が違うホーンを組み合わせることができたため、日本中の市民会館、映画館に多数納入されました。
マルチ駆動で使われることが少なかったためその真価は十分に発揮されず、改修で舞台の上に降ろされた後でマルチ駆動にして鳴らしてみてその素晴らしさに目を見張ることが多かったことは非常に残念です。
  ボイス・オブ・ザ・シアター・シリーズはA1,A2,A4,A5,A6,A7,A8,A10,A12,A15という製品が作られました。1940年代にアルテックがすでに確立したスピーカーシステム技術により作られたこれらの製品は、世界中のサウンドシステムに使い続けられてきました。
  高い能率を持って原音忠実度が優れたシステム、604シリーズと並んでボイス・オブ・ザ・シアター・シリーズはアルテックの製品を代表してきました。ぜひとも別の項目でこれらの製品について書いていきたいと思っています。
  

 【美空ひばりは 7.5 マイクロ・セック】

  
  アルテック・ランシングの<ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)>スピーカシステムはほとんどが<ホーンロード・エンクロージャ>を使っているために低域と高域の<タイム・アライメント>が取りやすいシステムです。
  <A7>、<A5>についてはクロスオーバ周波数を<500 Hz>で使うことが多く、この周波数での波長は<68 センチ>になります。
  <A7>、<A5>をマルチ駆動で使う場合に、低域と高域をダイアフラム位置で合わせた後でサウンドを聞くと音像の大きさに満足ができない場合があります。そのような時には高域に<遅延装置>をかけて<タイム・アライメント>をしていくのですが、どのくらいの精度を持った<遅延装置>を使わなければならないかと実際に実験をしてみました。音源には<美空ひばりさん>のCDを使いました。
 <1 ms(340 mm)>で調整ができる遅延装置では満足が行く結果は得られませんでした。結果から言えば<7.5 マイクロ秒(2.25 mm)>の精度を持った<遅延装置>を使って始めて満足のいく音像が得られたのです。
  目の前でディジタル機器は<48サンプリング>だから最小分解能は<20.8マイクロ秒(7.072mm)>だと計算をしている人間がいますが、こんな話は無視しましょう。
  そのときのサウンドは<美空ひばり さん>が目の前に立っているようでした。
 人間の耳はこのような微少なサウンドの違いを聞き分けることができるのです。

 【低い帯域のサウンド伝搬】


  早朝船に乗って港を出て帆を張ると船影は見えないのに低いエンジン音だけが聞こえてくることがあります。しばらく走り続けると船が見えてきて近づくにつれてエンジン音全体が聞こえるようになります。おそらく低い周波数帯域のサウンドだけが波に乗って伝わってくるのでしょう。  同じような現象がサブウーハシステムにも見ることができます。ミッドローの周波数帯域はスピーカシステムから飛んでくるように聞こえるのに、サブウーハから出てくるサウンドは建物の床や壁を這うように聞こえてきます。
 サブウーハシステムが再生する周波数帯域には指向性がないため、どこに置いても同じ効果を出すことができます。またサブウーハシステムはバラバラに置くのではなく、まとめて設置をすることによりより一層大きな効果を出すことができます。
  大阪にあるディスコテック<ゼクシー>ではサブウーハシステムをまとめて舞台下に設置しましたが、思った以上に素晴らしいサウンドが出て好評でした。アメリカのツアー関係の資料を読むと、舞台下を全て使ってサブウーハが置いてあるケースが多いようです。
  
  

 【アルテック・ランシングの納入実績】

空港がアルテック
米国の<80パーセント以上>の空港がアルテック・ランシングのサウンドシステムを使用しています。
  米国のメジャーリーグの野球場はほとんどアルテック・ランシングのサウンドシステムを使っています。
 <ミラノスカラ座>、<アムステルダム音楽劇場>、<サントリーホール>、<カザルスホール>、<東京芸術劇場>、<帝国劇場>、<宝塚大劇場>、<飛天劇場>等の音質を重要視する施設にもアルテック・ランシングが多く使われています。
  去年開催された<リレハンメル冬季オリンピック>の全ての施設にアルテック・ランシングのサウンドシステムが使われました。
  広島アジア大会の会場の多くにアルテック・ランシングのスピーカシステムが使われました。
  長野オリンピックのメイン施設の大半はアルテック・ランシングのスピーカシステムを使う予定でいます。 
  今年全国ツアーをおこなった<小田和正 さん>のサウンドシステムはアルテック・ランシングでした。<ドリームズ・カムトゥルー>もアルテック・ランシングのスピーカシステムを使っています。今年の後半全国ツアーをする<スターダストレビュー>もアルテック・ランシングのスピーカシステムを使う予定です。
  数多くの大きな容積を持った空間でアルテック・ランシングのサウンドシステムが使われています。また今後も多くの納入実績を誇ることになりそうです。
  <DTS シリーズ・スピーカシステム>を発表して以来、古くさい音と言われるアルテック・ランシングのサウンドがまた見直されてきています。
  ディジタル化で音源のクオリティが上がるにつれて、しっかりとしたサウンドを再生できるサウンドシステムが求められているのではないでしょうか。
  いくら年月が経とうとも<良いものはいつまで立っても良い>のです。
  

 【THX シネマシステム】


  
 THX シネマシステムTHXは<ジョージ・ルーカス>が彼の映画を最高の条件で楽しむことができるように考えられた規格です。
  サウンドシステムだけでなく、映画館の建築条件まで細かく決められています。ですからTHXに認定されたサウンドシステムを使うだけではTHXで要求される条件を満足したことにはならないのです。
 メインスピーカは<L,C,R>の3本を使用します。サブウーハを必ず設置しなくてはなりません。サラウンドは左右でステレオにならなければなりません。 従来の映画のサウンドシステムと全く異なる考え方をしなくてはなりませんので従来のフィルムをかけることができないという不満が出てきています。
  日本にある映画スタジオでそのサウンドを実際に聞く機会がありましたが、大変素晴らしいものでした。ただしスクリーン裏の鉄骨にまでも吸音材料が巻き付けてあり、このような場所にまで配慮がなされた設計がなされているのかと感心しました。
  THX方式の作品供給も初期の段階で計画されたよりもはるかに少ない本数となっていますので、せっかく高い費用をかけてTHXシステムを取り付けても採算がとれないようです。
  アルテック・ランシングではメインシステムとして<A10/MR945A>が、サブウーハシステムとして<8184>がそして<9442A、9444B,9446A>の3機種のパワーアンプがTHX認定品となっています。
  良い環境で映画を見たいという要求は日増しに強くなっています。<ジョンウェイン>の声をそこに<ジョンウェイン>がいるようなリアリティを持って再生をするそんな当たり前のことをアルテック・ランシングのサウンドシステムが実現してくれます。    

 【溺れるものは藁をもつかむ】

  全天候下で使うことができるUSIの<ミュージキャスタ(Musicaster)100 スピーカシステム>はその手軽さから様々な場所で使われています。
  リレハンメル冬季オリンピックでは560本余りの<ミュージキャスタ(Musicaster)100スピーカシステム>が施設の至る所に見受けられましたし、新宿駅と渋谷駅ではホームのアナウンスシステムに数多く使われています。
 以前<ミュージキャスタ(Musicaster)100 スピーカシステム>をあるイベントで河原で使っていました。突然豪雨が襲ってきて瞬く間に川が増水して来ました。
  何人かの人間が中州に取り残されたのですが、そこで使っていた<ミュージキャスタ(Musicaster)100スピーカシステム>に捕まって岸まで泳ぎ着いたとのことでした。
  溺れるものは藁をもつかむということわざ通りなのですが、くれぐれもスピーカシステムを浮輪代わりには使わないで下さい。
  水辺でイベントがある場合には、救命道具を忘れないで下さい。
  
  
  

 【映画に出演した仲間達】


  1991年に20世紀フォックスが製作した映画で<フォア ザ ボーイズ(FORTHE BOYS)>という映画があります。
  <ベット・ミドラー>、<ジェームス・カーン>が出ている映画ですが、この2人がアルテック・ランシングの<639B マイクロホン(鉄仮面)>の前で歌を歌っています。
  この映画のポスターをアルテック・ランシングがわざわざ私に送ってくれました。
  <ワイルド・ウェスト>という映画ではアルテック・ランシングのマルチセルラホーンに直接口を付けて話をしているシーンがあったそうです。
  話がそれますが、ホーンに口を付けて音を出してみるとそのホーンの性能の善し悪しが分かるような気がします。
 <ジョン・トラボルテ>が主演をした<サタディナイト・フィーバ>では<A7ボイス・オブ・ザ・シアター(VOTT)>の前でダイナミックなダンスを繰り広げています。
  コッポラ監督の<地獄の黙示録>でヘリコプタの下に吊り下げられているスピーカシステムもUSIの製品です。
 ベトナム戦争の最盛期には、スピーカシステムを吊り下げたヘリコプタがアルテック・ランシングのオクラホマ工場に多数飛来して、スピーカを修理してから飛び立っていったとのことです。
  <トップガン>にもUSIのラウドスピーカが多数出てきます。
  それ以外にも私どもの仲間が映画や小説に隠れて登場しているのをご存じの方は私宛連絡を下さい。

 【アルテック・ランシング これっきり:桐で作ったエンクロージャ】

 ウーハの性能を最大限に発揮できるエンクロージャの素材は<鉛>であると書いてある本がありました。
  アピトン合板のように密度が高くて質量が重くサウンドの押し出しが強い材料も出てきています。
  しかしホールのプロセニアムスピーカのように、固定して使用する場合には重量が軽いエンクロージャを求められるというのが現実です。
 405-8H
 用途によってエンクロージャの材料も変わってこないといけないのです。
 アルテック・ランシングのDTSシリーズと9000シリーズはユニット構成が全く同じシステムですが、DTSシリーズはツアリング等の移動を前提として設計されているために<14層>という厚くて堅い合板を使っています。一方9000シリーズは固定して使うことを前提として設計されていますので、<7層>の比較的軽い合板を使用しています。
  アルテック・ランシングの施工資料を見ると、1960代後半にウーハをエンクロージャに入れずに裸の状態で使っていた写真があります。
  鉄のフレームに4本縦方向に並べて取り付けてあります。
  この状態でサウンドを出すとどのような音がしたのでしょうか。非常に興味があるところです。
  ウーハーをエンクロージャに組み込まずに鳴らすと、エンクロージャの制動がかからないため低い周波数まできれいに再生できるそうです。特に太鼓のサウンドがすばらしいとの事でした。
  ミラーサウンドのウーハーもホーンロードの後ろに直接ウーハーが取り付けられています。
  スピーカーユニットが過振幅をしますので、ハイパスフィルターをつけくれぐれもパワーの入れ過ぎには注意してください。
 福島県に喜多方という市があります。
  <喜多方ラーメン>で有名になっていますが、昔からタンスで使う桐の産地で有名な場所です。
  先日喜多方市に<桐の博物館>ができました。展示品を説明するなにか良い製品がないかと相談を受けましたので、4 インチのスピーカユニットである【405-8H】使ったらどうかとサンプル品を送らせてもらいました。
  後日<30 センチ角>の密閉箱に405ー8Hを組み込んだシステムを送ってくれました。もちろん桐を使った大変美しく、大変軽いスピーカシステムとなっていました。
  お琴の表面と同じように焼きゴテで伸した仕上げとなっていました。
  そして桐を使ったことによりスピーカシステムを横にした場合と縦にした場合でサウンドが変わってくるのです。
  雨の日と天気の日でも音が微妙に変わって本当に楽しいスピーカシステムとなっていました。
  もちろん口径が小さなスピーカユニットですから低域には多少の不満がありますが、中域と高域に関してはアルテック・ランシングのサウンドポリシーをしっかりと保持しています。
  実は<1 フィート角>の密閉箱に入れた【405-8H】は人間が話をするのとほぼ同じ周波数と指向角度を再生できるということで、多くの音響研究所で基準スピーカシステムとして使われているのです。
  これらの音響研究をされている方々に桐で作られたスピーカシステムを見せてあげたらどのような意見が出てくることでしょうか。 私達はこのスピーカシステムに<アルテックこれっきり>という名前を付けてみました。
  
  

 【スピーカは四角だけではない】

12面対スピーカ 設備でサウンドシステムを使う場合に、スピーカシステムが内装に合わないので露出してもらっては困ると言われることが多くありませんか?
  それではと8面対と12面対に組み込んで位相補正をしたスピーカシステムを作ってみました。

 8面対スピーカ   鳴らしてみると今までとは違う音場が作れることがわかりました。
 フルレンジの周波数帯域が全面に出ているため、残響音場での高域減衰が少なくなりサウンドの透過性が良くなります。
 一つのスピーカーユニットから出ているエネルギーが少ないためハウリングも起こしにくいことがわかりました。
 金太郎飴の切り口をいつも同じにせずに変わった方向から切ってみることも必要なのです。
 アルテックの205スピーカーが使われています。

 【蓄音機】

蓄音機についてはすでに資料がまとまっていますのでここで詳しいことに触れるのはよして、手持ちの写真だけお見せしましょう。
 錫箔円筒再生器 ← 錫箔円筒再生器
 ホーン バイオリン?  ← バイオリンの音量を大きくするためのホーンをつけたところ。
 録音風景  ← 録音?(カッティング風景)
 蝋管のカッテング  ← 蝋管のカッティングマシーン

 【与太の会に入るメリット】

 お客様にサウンド与太噺をお送りする際に必ず<与太の会入会申し込み書>を同封しています。
  <与太の会>に入会をいただくと<サウンド与太噺>の内容が変わる度に最新版を送らせていただきます。
  「与太の会に入ると何かメリットがあるのでしょうか?」というお問い合わせをいただきます。
 はっきり言って何のメリットもありません。ただ最新版の<サウンド与太噺>や<技術資料>が送られてくるだけなのです。
  会費はいくらでしょうかというお問い合わせもあります。
  今現在は入会金も会費も一切必要ありません。
  事務所にお見えになるときに駄菓子の一つでもお持ちいただければ.................
 <サウンド与太噺>は私どもがお手許にお届けしているカタログだけでは伝えることができない内容についてお伝えしようと考えて製作をしています。
  カタログと製品をつなぐ架け橋であると自負をしている部分もあります。
  今目の前にある膨大な資料を目の当たりにして、あと何年この作業がかかるのかと思うと、思わず溜息が出ます。
  スピーカを中心としていってもだめだと思っていますし、全ての方に分かるようにと思うとそれほど技術的なことにも書くこともできません。
  いつでも結構ですから私のメールにご連絡をください。
  サウンド与太噺を読んでいただいて何か失ってしまったものも感じていただければよいとも考えています。
  できれば<サウンド与太噺>を肴にして日長酒を飲み交わすことができれば幸いです。

 【まとめ】

  思いついたことだけでサウンド与太噺を書いてみようと思いましたが、思いもよらず大変な作業になってしましました。物の見方は真正面から見たときと視点を変えて見たときではこれほど違うかと思い知らされました。
  できる限り難しいことは書かずにテクノロジーについては技術資料にまとめようと思い様々な資料を作り続けていますが、無限地獄に落とされたような気持ちになっています。

  このサウンド与太噺が皆様を音響の世界に誘うことができれば幸いです。
  今アルテックの製品を使っている方、アルテックに対して深い思い入れがある方の意見をお待ちしております。

 【参考資料】
アルテック伝承の歴史
永遠の604シリーズ
スピーカーの健康管理
スピーカーシステムを破壊から守る方法
A7取扱説明書



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First drafted Aug 1995
Last revised Sep 2015 Ver.0925_1800